米上院指導部、歳出上限33兆円上げ合意 金利に上昇圧力

2018/2/8 10:32
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【ワシントン=河浪武史】米上院の与野党指導部は7日、国防費などを積み増すため、2018会計年度(17年10月~18年9月)と19会計年度の歳出上限を合計3千億ドル(約33兆円)程度引き上げることで合意した。同案が議会で成立すれば、18年度の関連の歳出上限は前年度比1割強も高まる。大型減税と歳出増で政府債務がさらに膨張し、世界市場の動揺を招いた米長期金利にも一段の上昇圧力がかかる。

米議会法案の成否は与野党の勢力が拮抗する上院が握っており、膠着していた予算問題は上院指導部の合意で大きく前進する。下院は共和党のライアン議長が上院案に賛意を表明。ただ、健全財政を主張する共和党の「フリーダム・コーカス(自由議連)」は反対しており、下院の対応が焦点となる。

合意は3月23日を期限とするつなぎ予算法案も含む。現在のつなぎ予算は今月8日に期限が切れるが、同日までに上院指導部案が議会を通過すれば、政府機関の一部閉鎖といったリスクは回避できる。同案は連邦政府の借入限度額を定めた債務上限も、19年3月まで引き上げるとした。

米議会は政府債務の悪化に歯止めをかけるため、11年に10年間の歳出上限を定める予算管理法を成立させた。同法は社会保障費などを除く「裁量的経費」が対象で、国防費が半分を占める。14年度以降は特例法で上限を引き上げてきたが、18年度は予算の大枠が定まっていなかった。

共和党の上院トップ、マコネル院内総務は7日、民主党のシューマー上院院内総務と歳出上限の引き上げで合意したと発表した。18年度の歳出上限は管理法で定める額より1430億ドル引き上げ、19年度も同1530億ドル増やす。引き上げ規模は16年度の440億ドルから大幅に拡大する。

同案が成立すれば、18年度の裁量的経費の上限は、管理法で定めた1兆650億ドルから1兆2080億ドルへと13%増える。17年度の上限と比較しても1割強増える。先行きは大型減税で税収が年1千億ドル規模も減る見通しで、20兆ドルと過去最大に膨らんだ連邦政府債務は一段の悪化が避けられない。

トランプ政権は17年5月に提示した予算教書で、18年度の国防費を540億ドル積み増す一方、非国防費を逆に540億ドル減らすとしていた。今回合意した18年度の国防費の引き上げ額は800億ドルとさらに大きくなり、非国防費も減額から一転して大幅増となった。上院指導部の合意は、歳出抑制方針を大きく覆すものになる。

米議会指導部が大幅な歳出増で合意したのは、18年秋に中間選挙を控えるためだ。共和党は有権者に国防費の大幅積み増しを訴え、トランプ政権も核戦略の指針を見直して小型核兵器の開発に乗り出す方針だ。民主党も医療用鎮痛剤「オピオイド」の中毒対策やインフラ投資を要求。与野党双方の主張を盛り込んで、国防・非国防費の大幅積み増しにつながった。

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