米歳出上限3000億ドル上げ 上院指導部合意、債務膨張

2018/2/8 5:49
保存
共有
印刷
その他

【ワシントン=河浪武史】米上院の与野党指導部は7日、国防費などを積み増すため、2018会計年度(17年10月~18年9月)と19会計年度の歳出上限を合計3千億ドル程度引き上げることで合意した。同案が議会で成立すれば、18年度の歳出上限は前年度比1割強も高まる。大型減税と歳出増で政府債務がさらに膨張し、世界市場の動揺を招いた米長期金利にも一段の上昇圧力がかかる。

米議会は政府債務の悪化に歯止めをかけるため、11年に10年間の歳出上限を定める「予算管理法」を成立させた。同法は社会保障費などを除く「裁量的経費」が対象で、国防費が半分を占める。14年以降は特例法で上限を引き上げてきたが、18年度は与野党の対立が長引き、予算の大枠が定まっていなかった。

共和党の上院トップ、マコネル院内総務は7日、民主党のシューマー院内総務と歳出上限の引き上げで合意したと発表した。シューマー氏や米メディアによると、歳出規模を管理法で定める額より18年度は1430億ドル、19年度も1530億ドルそれぞれ引き上げる。上限額の引き上げ規模は16年度の440億ドルから大幅に拡大する。

上限引き上げによって、18会計年度の裁量的経費は、管理法で定めた1兆650億ドルから1兆2080億ドルへと13%増える。17会計年度(上限ベース)と比較しても1割強増える。先行きは大型減税で税収が年1千億ドル規模も減る見通しで、20兆ドルと過去最大に膨らんだ連邦政府債務は一段の悪化が避けられない。

トランプ政権は17年5月に提示した予算教書で、18会計年度の国防費を540億ドル積み増す一方、非国防費を逆に540億ドル減らすとしていた。今回合意した18年度の国防費の引き上げ額は800億ドルとさらに大きくなり、非国防費も減額から一転して大幅増となった。上院指導部の合意は、歳出抑制方針を大きく覆すものになる。

米議会が大幅な歳出増で合意したのは、18年秋に中間選挙を控えるためだ。共和党は有権者に国防費の大幅積み増しを訴え、トランプ政権も核戦略の指針を見直して小型核兵器の開発に乗り出す方針だ。民主党も医療用鎮痛剤「オピオイド」の中毒対策やインフラ投資を求め、与野党の妥協策で国防・非国防費の大幅積み増しにつながった。

米上院指導部の合意には、3月をメドに債務上限を引き上げることと、3月23日を期限とするつなぎ予算法案も含む。同案が上下両院を通過すれば、政府機関の一部閉鎖といったリスクは当面回避できる。米法案の成否は与野党の勢力が拮抗する上院が握っており、膠着していた予算問題は上院指導部の合意で大きく前進する。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]