2018年10月16日(火)

市場を結ぶ自動運転
WAVE(大崎真孝氏)

コラム(ビジネス)
AI
自動運転
2018/2/8 11:00
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今年の仕事始めも例年通り、米ラスベガスでの家電見本市「CES」だった。近年は多くの参加企業が車の新たな技術やパートナーとの提携を発表する場となっている。その中でも自動運転車への取り組みは各社の技術力を披露する重要なテーマである。

日本テキサス・インスツルメンツで20年以上、営業や技術サポートなどに従事。2014年から米エヌビディア日本法人代表兼米国本社副社長。首都大学東京でMBA取得。

斬新な展示やデモで毎年注目を集める我々のブースだが、今年最も注目を頂いたのが自動運転車の開発に向けたソフトウエア・シミュレーター(AutoSIM)である。

弊社スーパーコンピューター(DGX)の膨大な計算能力で、様々な路面状況や気象状況を含めた道路環境を仮想化する。そのDGXで生成された仮想空間の中に、車載コンピューター(DRIVE PX)を用いて仮想の車を走らせる。

つまり仮想空間上に、これまた仮想の車を走らせて自動運転用のアルゴリズムやソフトウエアを検証することが可能になる。仮想空間を生成するDGXでも仮想の車を生成し、全ての検証をすることも可能だ。

これは車載コンピューターとスーパーコンピューターの間でも、同じ自動運転アルゴリズムやソフトウエアが変更なく実行されることを意味している。

仮想空間にあらゆる想定条件を与えることで、自動運転車がどのような挙動をとるか、実車を走らせることなく検証することができる。つまりこれを繰り返すことで、自動運転に必要なソフトウエアの完成度を上げていくのである。

一見、地味に見えるこのシミュレーターはグラフィックス、科学技術計算、そしてエッジコンピューティングを融合させた技術の結合だ。

このシミュレーターに多くの人が集まった理由は、自動運転車がもはや議論の段階ではなく実行の段階だからだと考えている。つまり人々の目がすでに企画から量産開発に向いているということだ。

さて、エヌビィディアの特徴を聞かれた時に私が答える一つのキーワードがある。それは『技術の一貫性』である。ゲーム、ワークステーション、スーパーコンピューター、自動運転車、そしてロボット等に採用される我々の全ての画像処理半導体(GPU)製品は同一のアーキテクチャーを採用している。

そうすることでハードウエアとソフトウエアの真の融合が生まれ、プラットフォームとして技術の一貫性を創り出している。まさにこれが前述したシミュレーターを生み出したのである。

これは我々に開発投資の集中をもたらす。また市場の技術者にとっては、我々のGPUアーキテクチャーに精通頂くことで市場の垣根を越えて多くの製品に対応することができることになる。

人工知能(AI)はディープラーニングという技術で、市場の垣根をなくし始めている。言い換えればそれぞれ従来では全く関わりのなかった市場を結びつける威力を持っていると言える。自動運転で言えば、自動車業界と我々が属するコンピューティング業界である。

全く違う世界で培われてきた技術が融合することで多くの摩擦を起こしながらも新たな学びを得る。人が生み出した技術が、人に多くの気づきを与えてくれている。

[日経産業新聞 2018年2月8日付]

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