FW米山、攻も守も 両面でけん引「得点へ絡む」
アイスホッケー女子「スマイルジャパン」 10日初戦
【平昌=田中克二】アイスホッケー女子日本代表は10日、平昌五輪1次リーグ初戦のスウェーデン戦に臨む。全敗に終わった前回ソチ五輪の雪辱を期す「スマイルジャパン」の柱を1人挙げるなら、身長160センチの26歳、米山知奈(道路建設ペリグリン)だろう。「守備」と「攻撃」の両面でチームの先頭に立つ二刀流FWだ。

技術も球際の強さも備え、俊敏さもスタミナもチーム屈指。しかし皮肉にも、その万能性が活躍の機会を限定してきた。5人(FW3、DF2)を1組として交代で戦うこの競技で、背番号10は相手の最強の組と対決する役割を担ってきた。
昨年の五輪最終予選でもおいしいところを持っていったのはエースの久保英恵(西武)やパスの名手、床秦留可(西武)だった。守備力が高いから損な役回りを託される、と米山に問うと、明るい答えが返ってきた。「私は守備も攻撃も両方やりたい欲張りだから」
この優等生FWを守備型選手にせざるを得ないチーム事情があったわけだが、それもようやく解消されつつある。相手の力ずくの攻めをはじき返す強さを他選手も身につけ、チームのテーマは4年前の「耐えて幸運を待つ」から「いかに得点を奪うか」へと発展。隠し持っていた攻撃力を解放する時を待っていたかのように、今の米山の動きは鋭い。「20代半ばになって体のキレがさらに出てきた」と飯塚祐司コーチも話す。
4年前との違いを、米山自身はこう表現する。「今の私はパックをほしがる選手。自信を持ってゴールに向かっている」。ソチから帰国した後、ビデオを見て痛感した。「余裕があったのに慌てていたり、怖がったりしていた。だからソチ五輪からの4年は、自分でパックを持つプレーにチャレンジしてきた」
同学年の盟友、大沢ちほ(道路建設ペリグリン)との組を基本としつつも、リスクを冒して点を狙う時は獅子内美帆(トヨタシグナス)と組むパターンで日本を引っ張る。2度目の五輪は地味な役回りで終わるつもりはない。「守備で抑えるのは最低限のこと。今回は得点に絡まないと」。内に秘めた闘志を笑顔で包みながら決意を語る。