JR東、VC新会社を設立 出資枠50億円

JR東日本は6日、スタートアップ向けのベンチャーキャピタル(VC)で新会社を今月下旬に設立すると発表した。出資枠は50億円。同社の鉄道や不動産などの事業と相乗効果が見込める分野の企業を中心に出資する考え。VC専門の会社を立ち上げることで出資に向けて迅速に判断する。
JR東日本が100%出資する新会社「JR東日本スタートアップ」(東京・渋谷)を設立する。出資先は交通分野をはじめ、小売り、飲食、観光など幅広い業種を想定。JR東は快適な移動手段の実現を目指すほか、観光促進策、安全輸送に関する新しい技術の導入などを検討している。出資先企業には駅などのスペースを活用して事業展開することも可能にする。
JR東日本は2017年4月からスタートアップ企業との協業に本格的に力を入れている。スタートアップから協業提案を受け付けるイベントを開いたり、宅配弁当事業を手掛けるスターフェスティバル(東京・渋谷)などに出資したりしている。
JR東日本から出資を受け入れ成長をめざすのは荷物預かりサービスを運営するecbo(エクボ、東京・渋谷)だ。JR東日本、JR西日本が設立したコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)のJR西日本イノベーションズ、フリマアプリのメルカリ(東京・港)などを引受先とする第三者割当増資を実施したと発表した。調達額は非公表だが、数億円規模とみられる。
エクボは17年1月、カフェなど空きスペースを持つ店舗と荷物を預けたい観光客をネットで仲介するサービスを開始。観光客はスーツケースなどコインロッカーに入らない大型の荷物を手軽に預けられ、店側は集客効果を見込める。全国で1000店以上に展開し、JR東日本とは東京駅構内の荷物預かり所にエクボの予約システムを提供するなど実証実験を進めている。エクボの工藤慎一社長は「今後は駅構内で預けた荷物の配送サービスにも取り組みたい」と話す。
(企業報道部 岩本圭剛、鈴木健二朗)