2019年6月16日(日)

南シナ海「懸念」復活 ASEAN外相が会合

2018/2/6 18:35
保存
共有
印刷
その他

【シンガポール=中野貴司】東南アジア諸国連合(ASEAN)は6日、シンガポールで非公式の外相会合を開いた。会合後に発表した議長声明は、南シナ海情勢について「一部の外相が表明した懸念に留意する」と明記。2017年11月の首脳会議の議長声明で消えた「懸念」という言葉が復活した。一方、並行して開いたASEANと中国の国防相会合では、海洋演習の合同実施を決めるなど、中国側への配慮も示した。

中国に配慮する姿勢が鮮明だったフィリピンからシンガポールに議長国が代わり、対中国姿勢がやや中立に戻った。ただ、3月にも始まる南シナ海での紛争を回避する「行動規範」の条文作成交渉は難航が予想される。軍事拠点化を進める中国をどの程度けん制できるかは未知数だ。

会合後に記者会見したシンガポールのバラクリシュナン外相は行動規範の条文作成交渉について「領有権を巡る論争は解決しておらず、非常に複雑な交渉になる」と指摘。その上で「今年中に意味のある成果を達成したい」と、議長国として交渉前進に全力を挙げる考えを示した。

議長声明は中国を名指ししなかったが「地域の平和や安定を侵害する埋め立てなどの活動に一部の外相が懸念を表明した」と言及。「状況をさらに複雑にする活動は避ける必要がある」として、中国に暗に自制を求めた。

16年7月に、オランダ・ハーグの仲裁裁判所が中国の主張を退ける判決を出して以降も、中国は判決を無視する構えを崩していない。そのため、ASEANはこれまでも首脳会談の場などで、たびたび南シナ海の現状に「懸念」を表明してきた。ただ、フィリピンが議長国だった17年は表現ぶりが少しずつ弱まり、同年11月の議長声明では、「懸念」の文言すらなくなっていた。

シンガポールは今回の声明を基に、4月の首脳会議の議長声明づくりも進めるとみられる。シンガポールに対しては、よりバランスの取れた対応を期待する声が周辺国から上がっている。

もっとも、議長国として中国との行動規範の条文作成交渉を主導する役回りは容易ではない。ASEAN加盟国の南シナ海問題への姿勢はそもそも足並みが悪い。カンボジアやラオスのように中国に近い国がある一方、ベトナムのように強硬な国もある。条文作成が具体化すればするほど、加盟国間の見解を擦り合わせる作業は難しくなる。

外相会合と並行し、ASEAN10カ国の国防相は6日、シンガポールで中国の常万全国防相との会合を開催。2018年末に合同で海洋演習を実施することで合意した。シンガポール国防省の発表によると、海洋演習を双方が共同で実施するのは初めて。ASEANと中国の実践的な協力の拡大が話し合われたという。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報