本田翼 大好きなゲームがあるからいい仕事ができる

ドラマや映画で女優として活躍する一方、モデルとしても高い人気を誇る本田翼さん。「睡眠時間を削る」というほど夢中になるゲームの魅力と、「間違ってないと思う」という仕事論を明るく語る。
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「もともとは兄がゲーム好きで、私はその対戦相手をやらされていたんです。でも、それがきっかけで、すっかりハマってしまって(笑)。
ゲームの魅力は、現実にはない世界の中に入れること。そして、ストレス発散になる。戦う系のゲームなら特に、です。あのすべて忘れて夢中になれる時間が、とっても好きです。
去年1番ハマッたのは『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』。うん、すごく面白かった! それから『人喰い大鷲のトリコ』にもハマりました。あとは『スプラトゥーン2』もやっていましたね。今、心待ちにしているのは、『モンスターハンター:ワールド』(※)。それをプレイステーション(PS)4でやるのが、すごく楽しみです(※取材は発売前)」

愛用のゲーム機はPS4と「Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)」。最近はスマートフォン(スマホ)で遊ぶオンラインゲームが話題になることが多いが、彼女は「ゲーム機でできるゲーム」にこだわりがある。
「空き時間にスマホでできるものいいんですけど、私は、大きい画面でやりたい。ゲームの世界観に、どっぷりつかれるからです。コントローラーを握ってやるというのも、好きなところ。あと、スマホは画面が小さいので、私は目が痛くなるんです。
それに、すごく面白いものは、やっぱりゲーム機にある気がする。今、スマホのゲームに押されているからこそ、逆にゲーム機のものは、すごく綿密に、こだわって作られているんです。だから面白いっていうのも、あると思います」
女優とモデルの「SNS問題」
2月10日公開の出演映画「今夜、ロマンス劇場で」は、モノクロ映画の中のお姫様・美雪(綾瀬はるか)が、スクリーンから飛び出して、映画監督志望の青年・健司(坂口健太郎)と恋に落ちるラブストーリー。本田さんは健司に思いを寄せる映画会社の社長令嬢・成瀬塔子を演じている。

「別の映画で社長令嬢の役をやったことはあるんですけど、今回のように生粋の、本当に純粋なお嬢様を演じるのは初めてです。普段の私とは逆……とまではいかないですけど(笑)、かけ離れた役だったので、役づくりでは、自分の周りにいるお嬢様的な人に会ってきました。
よく見ていると、お嬢様って、あまり焦ったりしないんです。それにともなって、話すスピードがゆっくりであったりする。邪念がない感じもしましたね。演じるにあたっては、そういうところを意識しました。
撮影で印象に残っているモノは日傘。小道具としてずっと日傘を持っていたんですけど、これもお嬢様ならではだなあ、と思いました。1960年代という設定もあって、衣装は、ほとんど衣装さんが作ってくださいました。衣装さんがこだわっていたのはシルエット。ちゃんと採寸して作って、ピタッとした服が多かったので、太れないなあ……と思いながら撮影してました(笑)」

完成した作品はファンタジックなラブストーリーであると同時に、「女優」について考えさせる映画になっている。劇中の健司のように、観客は女優に憧れ、「もっと見たい、もっと知りたい」と思う。しかし女優には知られたくないことも、人知れぬ苦労もあり、夢を見続けさせなければいけないという使命もある。映画を見て本田さんが感じたことを聞いてみた。
「完成した映画を見ながら、女優は美しくあるべきだなと思いましたね。綾瀬さん演じるお姫様がキレイだったので、自分も努力しよう、と。
それから、SNSでプライベートを見せすぎちゃうのはどうなのかな、と思ったりしましたね。SNSにはファンの方との距離が近くなるという良さがありますけど、あんまりそれをしすぎると、夢を壊しちゃうのかな、と。
私は、モデルもやっていて、モデルとしての自分も見てもらいたいということで、SNSをやっています。でも、女優だけを仕事にしていたら、たぶんSNSはやってないです。
2つの仕事をしていると、どっちに軸を置くか、バランスがすごく難しい。今は、どちらに置くとも言えない感じ。どっちにも面白さがあって、どっちにも好きなので、両方続けていきたい、という気持ちです」
我慢するより好きなことを
女優とモデルの二足のわらじを履き、忙しい毎日を送る。そんななか、「発売日に必ず買いに行く」というのが、マンガだ。
「好きなマンガの新刊は、ちゃんと日付を調べて、その日に本屋さんに買いに行きます。一日でも早く読みたいから。それに私、本屋さんに行くのが好きなんです。ずらっと本が並んでいるから、歩きながら『こういうマンガが出てるんだ』と知ることができるし、ジャケ買いみたいなこともできる。書店員さんが書いた、オススメのポップを見るのも好きです。
マンガは、単行本だけでなく、ネットで読むこともあります。飛行機に乗るときなんかは、本を持っていくと荷物になるので、タブレットで探して読む。でもネットだと、本屋さんと違って、自分が興味のある情報しか入って来ないんですよね。
服も、欲しいものが決まっていたらネットで買いますけど、そうじゃないときは、やっぱりお店に行きます。
自分の興味の範囲を超えて、『こういうものもあるよ』と教えてもらえるのは、やっぱり店舗。そこでの運命的な出会いみたいなものを大事にしているのかもしれません」

「では、ゲームソフトの買い方は?」と聞くと、「ネットで買っていますね。やりたいものが決まってるから」と笑う。かつてゲームをして遊ぶ時間について、「朝起きて、18時間とか」と答えてネットニュース化したこともある本田さん。どうやってその時間を作っているのか。
「それは……睡眠を削る、とか(笑)。もちろん睡眠不足は体に良くないので、バランスは取ります。でも、好きなことができない時間より、好きなことをしている時間のほうが、体には良い気がする(笑)。
私は、趣味を持つって、とっても大事なことだと思うんです。趣味がある人のほうが生き生きしてるし、実際、生きていて楽しいと思う。『今日、家に帰ったらあれが待っている』みたいなものがあると、仕事だって、よりがんばれると思うんですよ。
仕事をするために生きる瞬間もあるけど、楽しいことをするために仕事をする瞬間もある。映画のために働く時もあれば、ゲームのために働く時もある。それは悪いことじゃないと思います。うん、絶対に間違ってない!(笑)」

1992年生まれ、東京都出身。2004年にモデルデビューし、女優としても活躍。14年に主演映画「アオハライド」が興行収入19億円のヒットとなり、15年にはドラマ「恋仲」で月9ヒロインを務めた。主な出演映画に「江ノ島プリズム」(13年)、「起終着駅」(15年)、「少女」(16年)、「鋼の錬金術師」(17年)など。ドラマには「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」(16年)、「奥様は、取り扱い注意」(17年)などがある。

「今夜、ロマンス劇場で」
撮影所で助監督として働く健司は、なじみの映画館で発見したモノクロ映画のお姫様に恋をしていた。ある日、そのお姫様が、スクリーンから飛び出してくる。2人はやがてひかれ合うが、姫は、ある秘密を抱えていた……。監督・武内英樹 脚本・宇山圭佑 主題歌:シェネル「奇跡」(ユニバーサル ミュージック) 出演・綾瀬はるか、坂口健太郎、本田翼、北村一輝、中尾明慶、石橋杏奈、西岡徳馬、柄本明、加藤剛 2月10日(土)全国ロードショー
(文 泊貴洋、写真 藤本和史)
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