2019年6月27日(木)

「五反田で何が悪い」 渋谷に背を向ける起業家たち

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2018/2/7 6:30
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■ご近所同士、飲み仲間

フォトシンスの河瀬航大社長

フォトシンスの河瀬航大社長

1月時点で五反田に本社または東京支社を置くスタートアップ35社を対象にアンケートを実施した。街の魅力(複数回答)では「オフィス賃料が安い」が94%と圧倒的。スタートアップの集積で「経営者・従業員の交流がある」ことも魅力の1つだった。

オフィス賃料は回答企業では1坪あたり8000~1万6000円が相場で、駅から同じ条件の渋谷や六本木と比べると3~4割安くなる。これが最大の訴求力だ。

次の魅力は「通勤に便利」「飲食店が多い」。また「スタートアップ企業が集まっている」も46%あった。ネットワーク効果で近所づきあいも活発だ。五反田同士で「経営者・従業員とも交流がある」という企業は60%にのぼる。

セーフィーの佐渡島隆平社長

セーフィーの佐渡島隆平社長

フォトシンスの河瀬社長は「つらいことがありオフィスから駅に向かう途中でセーフィーの佐渡島社長と会い、その場で飲みに誘ってもらった」という。こんな距離感も五反田ならではだ。昨秋には五反田を中心に品川区の起業家24人が区内の中学2年生に「生き抜くために必要な力を知る授業」で講演した。参加した料理動画デリーの堀江裕介社長(25)は「経営者の横のつながりは強い」と語る。

その典型が仮想現実(VR)企業。クラスターの加藤直人社長(29)は16年に渋谷から移転。「落ち着いてコンパクト」な街に引かれ、ツイッターで同業に五反田に集まるよう呼びかけた。秋葉原から昨秋移ったシナモンの武樋恒社長(30)も「この街にVRやゲームの企業が次第に集まり、話をしやすい」という。

35社のうち直前の本社が渋谷なのは9社。35社にいつか渋谷に拠点を置きたいか尋ねると「いいえ」が83%に達した。五反田には渋谷や六本木の人混みを避けたい企業が多く、最近の渋谷の賃料上昇も影響している。

一方、五反田のマイナス面を尋ねると「街のイメージが悪い」が57%と断トツ。駅東口の風俗街のイメージが影響したとみられる。それでも次の引っ越し先に五反田を候補に含む企業が3分の2と、愛着心は強い。

■五反田スタートアップ企業調査の回答企業一覧(順不同)
クラスター、Synamon(シナモン)、トレタ、VASILY(ヴァシリー)、モフィリア、チケットストリート、セーフィー、ZEALS(ジールズ)、ユニラボ、みんなのマーケット、ジーンクエスト、ココナラ、hachidori(ハチドリ)、ギフティ、freee(フリー)、dely(デリー)、スマートエデュケーション、プレイド、串カツ田中、フォトシンス、ジモティー、マツリカ、Surpass(サーパス)、モバイルファクトリー、みんれび、メディアインベストメント、ホワイトプラス、エコーズ、ナイル、アグリゲート、DYM、ホロラボ、ZenmuTech(ゼンムテック)、※クックビズ、※フェンリル。
※本社は大阪で東京拠点を五反田に置く企業

(企業報道部 加藤貴行、若杉朋子、吉田楓)

[日経産業新聞 2018年2月6日付]

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