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フィギュアの醍醐味 名プログラム誕生に期待

目に見えた成長や勢いを感じる選手には得点が出やすい傾向がある。如実に感じたのは1月末の四大陸選手権を制した金博洋(中国)だ。「ジャンプだけ」という印象を変えた。素の良さを引き出すプログラムの巧みさも手伝い、表情も豊かに踊ってみせた。正直、ここまでできると思わなかった。

アイスダンス優勝候補のパパダキス(右)、シゼロン組のフリー=共同

もう1人は坂本花織。勢いへの期待感が得点を上げている。これが五輪でどう評価されるか、興味深い。勢いが止まるときつくなるので、このまま突っ走ってほしい。

欧州選手権を制したザギトワも同じだ。ジャンプ構成に大差のない女子で、彼女とメドベージェワ、ロシアの2人が突出しているのは理由がある。

まず、プログラムのどこを切り取っても、体のポジションがきれい。見習いたいところだ。

2つ目にクロスという基本的なスケーティングが少なく、多種類のスケーティング技術を細かく入れている。こうするとスピードをつけにくいが、2人は速い。そしてジャンプも高さと幅があるだけでなく、着氷後に足を上げるような小技を入れてから、次に移る。

こうした細部へのこだわりは直接、得点につながらない。しかし、プログラムを通してやり続けるから、演技構成点も技術への加点も高くなる。

さて、勝負はさておき、フィギュアの醍醐味はプログラムだと思う。ジャンプの成否に目が行きがちだが、スケーターが伝えようとすることも感じてほしい。演技を長く感じたら、表現がつたないということだ。

今季、僕一番のおすすめはアイスダンス。優勝候補パパダキス、シゼロン組(フランス)のフリー「月光」(ベートーベン作曲)だ。語り継がれる名プログラムになる予感がする。引き込まれて、一瞬も目を離す隙を与えない。装飾のない衣装も、潔い。もう1組の金メダル候補で過去2回連続でメダルを獲得しているバーチュー、モイヤー組(カナダ)の「ムーラン・ルージュ」は映画同様にドラマチックで、心を揺さぶられる。両組に技術的な差はほぼなく、対照的な表現の争いは面白いと思う。

誰もが選びそうな曲なのに、意外に誰にもできないことをしているのが、男子のチェン(米国)のショートプログラム「ネメシス」、フェルナンデス(スペイン)のフリー「ラ・マンチャの男」だ。彼らの個性がよく分かる。

(バンクーバー五輪銅メダリスト 高橋大輔)

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