2018年2月24日(土)

スパイクを脱ぐ前に

フォローする

世界との差を埋めるには明確なビジョンが必要
対談 岩政大樹(サッカー元日本代表)×大倉智(いわきFC代表)

(1/3ページ)
2018/2/8 6:30
保存
共有
印刷
その他

 サッカー元日本代表で関東リーグ1部の東京ユナイテッドに身を置く岩政大樹が思想を深めるため各界のリーダーと対談を重ねている。今回は元湘南ベルマーレ社長で、現在は東北リーグ2部のいわきFCの代表を務める大倉智氏に迫った。

 岩政 プロ選手になったころの話を聞かせてください。

 大倉 大学卒業が1992年3月で、Jリーグがスタートしたのが93年です。大学3年のころから「プロリーグができるらしい」という話が伝わっていたけれど、日本でプロサッカーが成り立つとはとても思えませんでした。そういう中で各クラブのスカウト活動は激しくなっていて、接待攻勢を受けました。大学4年時にユニバーシアード代表に選ばれてシェフィールド大会(英国)に出ましたが、そのときの話題の中心はそれぞれの進路についてでした。でも、なぜか僕はプロ選手になんてなってはいけないと思っていました。

大倉社長(右)は「このままじゃサッカー界はダメになると思ったことが、経営者になったいまの原点」と語る

大倉社長(右)は「このままじゃサッカー界はダメになると思ったことが、経営者になったいまの原点」と語る

 岩政 どうしてですか。

 大倉 プロなんて夢物語で、成功するかどうかわからない、だから企業でまじめに働かなきゃいけないと思ったんです。商社で働きたくて、ある会社にほぼ内定という状態までいきました。でもやっぱりサッカーがしたくなって、結局、日立製作所に入社してサッカー部(現柏レイソル)でプレーしました。加藤望(現柏ヘッドコーチ)のようにプロ契約の選手もいたけれど、僕は2年目まで社員選手でした。寮に住んで常磐線で東京・御茶ノ水の本社に通い、午前中は仕事、午後から練習という生活です。1年目の年収は240万円。プロではないのに勝利給が20万円出ました。どうなっているのか、仕組みが分かりませんでした。そんな時代です。

 岩政 そうなんですか。

 大倉 93年にJリーグがスタートすると、いきなり人気が沸騰して、初年度にJリーグ加盟がならずジャパンフットボールリーグ(JFL)にいた柏にもブラジルの大スターのカレカが加わりました。94年に日立サッカー部がプロ化して、柏レイソルとなるとき、選手はプロになるか、やめて社業に専念するかを自分で選びました。僕もそこでプロになりました。クラブはプロ化したものの、いろいろ問題がありました。選手がプロで1年契約なのに、フロントは本社から出向してきて、選手は部下だという感覚です。そういうところに疑問を感じました。他にもおかしなことがたくさんありました。このままじゃサッカー界はダメになると思ったことが、経営者になったいまの僕の原点です。

 岩政 選手時代に先のことも考えていたのですか。

プロクラブには優れた経営者欠かせず

 大倉 そこまで深く考えていたわけではないけれど、とにかく、このままではダメだと思っていました。柏を出て、ジュビロ磐田、ブランメル仙台(現ベガルタ仙台)、米国のジャクソンビルでプレーして感じたことは、プロクラブには優れた経営者が必要だということです。米国に行ったのはスポーツマネジメントが進んでいると思ったからです。マイナーリーグなので月給は10万円しかもらえませんでしたが、アメリカンドリームを追いかける若者ばかりで楽しかった。

 岩政 当時、スポーツマネジメントに興味を持って、米国に行ってみようなんて発想の選手はいなかったのではないですか。

 大倉 米国で引退して、次はスペインにスポーツマネジメントを学びに行きました。母親が米国に送ってくれた荷物の中に「ヨハン・クライフ(元オランダ代表のスーパースター)がバルセロナにスポーツビジネスの大学を開校する」という記事が載った新聞を入れてくれたのがきっかけです。すぐに「これだ」と思って、米国からスペインに電話をしたら、「とりあえず一度、来てみなさい」というのでスペインに向かいました。いま思うと無鉄砲でした。

 岩政 スペインに行ったからこそ見えたものがありますか。

 大倉 「スペインで学んだことがいま役立っているか?」と聞かれると、あまりないと思います。一番大きかったのはサッカー先進国に3年間、身を置いたことです。話題はサッカーばかりですから。

 岩政 僕も一度は欧州に住んでみるべきではないかと考えています。今後、サッカー人として生きていくなら、欧州に身を置いてみることも必要じゃないかと思っています。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップスポーツトップ

サッカーコラム

スパイクを脱ぐ前に 一覧

フォローする
大倉社長(右)は「このままじゃサッカー界はダメになると思ったことが、経営者になったいまの原点」と語る

 サッカー元日本代表で関東リーグ1部の東京ユナイテッドに身を置く岩政大樹が思想を深めるため各界のリーダーと対談を重ねている。今回は元湘南ベルマーレ社長で、現在は東北リーグ2部のいわきFCの代表を務める …続き (2/8)

中村氏(左)は「価値観はそのときどきで変わる。だから5年以上先のことは考えなくていい」という

 サッカーの元日本代表の岩政大樹(東京ユナイテッド)が各界で活躍する方のもとに足を運んで見聞を広めている。今回は米プロリーグ、メジャーリーグサッカー(MLS)国際部の元職員で、現在はニューヨークを拠点 …続き (1/17)

小宮山氏(左)と投球術、打者との駆け引き、理にかなった体の使い方について掘り下げた

 元千葉ロッテで野球解説者の小宮山悟氏(52)はサッカーファンとして知られ、Jリーグ理事も務める。頭脳派という点で共通するサッカー元日本代表の岩政大樹が投球術、打者との駆け引き、理にかなった体の使い方 …続き (2017/12/13)

ハイライト・スポーツ

平昌五輪特設ページ

[PR]