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「4番打ちたい」 西武・山川の気概にプロをみた

編集委員 篠山正幸

抱負は?と問えば「与えられた打順で役目を果たしたい」と答える打者が多いなか、あれほど強い「4番」への執着をみたのは久しぶりだった。西武の5年目、山川穂高(26)。「一番打ちたい打順」として、中村剛也(34)らとの争いに臨む。その意欲が、10年ぶりのリーグ優勝への原動力になるかもしれない。

山川は4番への決意を新たにしている

体形が似ていることや、その長打力から、おかわり君(=中村)二世ともいわれた山川だが、自分の名で、大きく羽ばたきはじめた。

2軍暮らしの期間もあった昨季は78試合の出場にとどまった。それでも4年目で自己最多の23本塁打、61打点をマーク、大器の片りんを示した。チームの59年ぶり13連勝の中では楽天・則本昂大からの2打席連発を含む1試合3発の本塁打ショーもあった。

一昨年までは打てない打席が続くと、スイングが小さくなり、一発長打の持ち味が消えるという悪いサイクルにはまっていた。しかし、昨季は新たに就任した辻発彦監督の辛抱強い起用もあり、吹っ切れたようにスイングし続けた。

「自分はレギュラーじゃない」

しばらくは打率も2割そこそこ。それでも、辻監督はラインアップから外さなかった。1年かかっても、この打者を育てるという意思がうかがえた。しかし、それははたから見ているからわかることで、本人にその余裕はなかったし、監督のおうようさに甘えるつもりもなかった。「毎打席、これで打てなかったらおしまいというつもりでやっている」と言い続けた。

年が明けても、その口調は変わらぬままだった。「自分はレギュラーじゃない。キャンプからアピールして、シート打撃、紅白戦、オープン戦と持ち味を最大限に出していかないといけない」。自主トレ公開日の1月18日のコメントだ。

現在の立ち位置としては「レギュラー定着」と「4番獲得」はほぼ同義のものといっていいかもしれない。

昨季は4番も任された。その座について見えたものがあるという。

それまでは中村ら4番の打席を遠くからうかがうのみだったが、そこに座ってみて「打てなかった、じゃすまない。(投手の)攻め方も違う」と感じた。「それを打ち破ってこその4番だし、だからこそ4番を打ちたい」

昨季終了後の「アジア プロ野球チャンピオンシップ」でオーバーエイジ枠で日本代表に招集され、4番を打った。3試合で14打数3安打ながら、シーズン通りの勝負強さをみせて4打点を挙げた。この体験も、小学生の時分から打っていたという「指定席」への執念を呼び覚ますきっかけとなったようだ。

「全打席、フルスイングが大事」

山川は昨季、結果にかかわらずフルスイングし続けることの大切さをかみしめた=共同

チームには中村のほか、浅村栄斗(27)、森友哉(22)と主軸を打つ能力のあるライバルが多い。昨季は眠ったままだったエルネスト・メヒア(32)もいる。そのなかで勝ち取れた4番なら、値打ちも倍加する。

昨季、まとまった打席数をもらったことで、結果にかかわらず、フルスイングし続けることの大切さをかみしめた。「全打席、フルスイングすることが大事。自分のスイングができれば(本塁打の)本数も、飛距離も出てくれると思う」

1、2番や下位はもちろん、中軸も「次へのつなぎの打撃をする」と口をそろえる昨今。それはチームとして勝つための王道かもしれないが、プロとしてはそれだけでは寂しい。山川の「これぞ4番」というスイングに「これぞプロ」の輝きを期待したい。

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