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サイ・ヤング賞投手も… トライアウトから再出発
スポーツライター 丹羽政善

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2018/2/5 6:30
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ダルビッシュ有、J・D・マルチネスら、米大リーグの大物フリーエージェント(FA)選手らでさえ、なかなか去就の決まらないこのオフ。彼らの場合はそれでも、家のソファで待っていれば、いずれ代理人から連絡が来るはずだ。その一方で大学生らに交じってトライアウトを受けなければならないFA選手も少なくない。

1月23日、シアトル郊外にある「ドライブライン」という野球のトレーニング施設で合同トライアウトが行われた。大リーグ12球団が見守る中、ドラフトに漏れた大学生や元大リーガーら11投手が参加した。

与えられた時間は15分

配られた1枚の紙には、選手の名前や携帯電話番号、メールアドレス、代理人がいる場合はその携帯番号が書かれ、これはと思う選手がいれば、すぐに連絡できるようになっている。リストには知らない名前ばかりが並んでいたが、一番下にそれなりに知られたベテランの名前があった。

マーク・ロウ、34歳。

元マリナーズのリリーフ投手である。デビューした2000年代半ばには、100マイルの球速を誇る速球派だった。トレードで移籍したレンジャーズでは、オープン戦の登板直前に「突然投げ方がわからなくなった」という珍しい経歴を持つ。15年、古巣マリナーズに復帰し、34試合に登板して防御率1.00という成績を残すと、その年のオフにはタイガースと2年総額1100万ドルで契約。30歳を超えて、彼は最大の契約を勝ち取った。

ところが、タイガースは1年でクビに。昨年はマリナーズに拾われたが、メジャー昇格はかなわず。7月、遠征の際にアリゾナ州フェニックスからニューメキシコ州アルバカーキまで、7時間をかけてウーバー(ライドシェア)で移動したというニュースが報じられて、久々に名前を耳にした。

元メジャーリーガー、マーク・ロウの球はやはり別格だった

元メジャーリーガー、マーク・ロウの球はやはり別格だった

その後の消息は不明だったが、そんな選手の場合、もはや待っていても電話はかかってこない。むしろ、積極的にトライアウトに参加し、アピールするしかないのだ。

今回のトライアウトは、室内に作られた仮設マウンドから捕手へ投げる形式で行われた。打者は立たず、1人に与えられた時間は15分程度。マウンドはマットで覆われているため、選手は皆、スパイクではなく、スニーカーで投げていた。

選手によっては「最後のチャンス」という人もいたようで、張り詰めたものが感じられた。ただ、90マイル(約144キロ)を超えるような球を投げる選手はわずか。ストライクがなかなか入らない選手もおり、全体的にレベルが低調なのはスカウトらの表情を見ていれば明らかだった。

ドジャースとマイナー契約

そんな流れの中で、最後にロウがマウンドに上がると空気が一変した。スカウトらの表情も真剣になり、同施設でトレーニングをしているアマチュア選手らも集まってきて、視線が一点に注がれた。

初球、いきなり92マイル(約147キロ)をマーク。マットを敷いたマウンドは踏ん張りがきかないため、通常、球速が1~2マイルは落ちるとのこと。1月に終わりにしてはまずまずの出来で、34歳のベテランはきっちりと仕上げてきた。

その後もロウは、テンポよく投げ込み、キャッチャーミットに収まる乾いた音が響き続けた。ミットは動かず、スライダーがワンバウンドすることはあったものの、それまでの10人と比べればその差は歴然。別格だった。

終了後、「どうだった?」と声を掛けると、「この時期にしては悪くないかな」と言いながら満足そうに額の汗を拭い、こう続けた。

「まだまだ、頑張らないと」

ロウはその1週間後、ドジャースとマイナー契約を交わし、メジャーキャンプへの招待も決まった。最初のハードルをクリアしたといえる。

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