2018年2月24日(土)

世界最小級ロケット打ち上げ成功、衛星投入 JAXA

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2018/2/3 14:05 (2018/2/3 17:11更新)
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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3日午後2時3分、電柱サイズのロケット「SS―520」5号機を内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県)から打ち上げた。キヤノン電子が参画し、部品に民生品を使いコストを抑えた。東京大学の超小型衛星「TRICOM―1R」を約7分半後に分離し、予定の軌道に投入することに成功した。今回の成功により、宇宙関連産業の裾野が広がると期待される。

 JAXAによると打ち上げ後3分までに、飛行を続行できると判断し、第2段点火の指示を送った。正常に点火できたという。

 失敗に終わった2017年1月の打ち上げに続く2回目の挑戦。ミニロケットは既存の宇宙観測ロケット「SS―520」を改良した。大きさは電柱サイズで、主力ロケットの5分の1以下だ。衛星を投入できるロケットとしては世界最小クラスとなる。打ち上げ費用は大型ロケットより大幅に安い約5億円だ。

 ロケットの部品に携帯電話や家電に使われる半導体などの民生品を使い、コストを抑えた。キヤノングループで精密機器を製造するキヤノン電子が飛行を制御する装置を担当した。量産される民生品が宇宙空間でも十分に使えるかどうかを確かめる。

 東大の衛星も民生品を活用した。約1カ月間運用し、飛び方を衛星自ら判断しながら地上を撮影したり、地上からの微弱な電波を捉えたりできるか検証する。

 JAXAは17年1月に超小型衛星専用のSS―520の4号機を打ち上げたが20秒後に通信が途絶え失敗した。JAXAは配線のショートが原因の可能性が高いとして、保護材をあてがうなどの対応策を施した。

 今回の打ち上げは、民間の宇宙ビジネス拡大の契機になる。重さ数百キログラム以下の小型衛星は、短期間に低価格で開発でき、企業や大学にも手が届く。ミニロケットはこうした小型衛星の打ち上げに特化しており、低コストで頻繁に打ち上げることができる。

 小型衛星の市場を広げると期待されており、米国では複数のベンチャー企業が参入した。世界では超小型衛星を大量に打ち上げて地球を取り囲み、地表を網羅して観測できるビジネスが立ち上がりつつある。超小型衛星の打ち上げ需要は23年に460基と16年の4.6倍に膨らむとの調査もある。

 既存のロケットは大きすぎるため他の小型衛星と相乗りするケースも多く、自分の都合で打ち上げ時期や軌道を選べない不自由さがあった。

 キヤノン電子はIHIエアロスペース、清水建設、日本政策投資銀行と設立した共同出資会社を通じ、ロケット打ち上げサービスの事業化を目指している。ロケットは超小型や小型の衛星を単独で運べる固体燃料式を想定している。

 また民営のロケット発射場を和歌山県串本町に建設する方針だ。人工衛星の打ち上げ能力を持つ小型ロケット専用の発射場で、地質調査などを経て正式に決める。2021年の完成を目指している。

 日本のロケット発射場はJAXAが保有する内之浦宇宙空間観測所と種子島宇宙センター(鹿児島県)の2拠点のみ。民営のため政府の予定に左右されず打ち上げでき、コスト削減にもつながると期待されている。

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