2019年2月20日(水)

ソニー平井氏、サプライズ退任の理由

2018/2/2 17:23
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ソニーは2日、吉田憲一郎副社長兼最高財務責任者(CFO、58)が4月1日付で社長兼最高経営責任者(CEO)に昇格する人事を発表した。2013年末に平井一夫・現社長(57)にCFOとして登用され、18年3月期に過去最高益を見込むまでの「V字回復」をけん引した人物だ。社内外から「あくまで番頭」と評されてきた陰の立役者が、表舞台に躍り出る。

■私生活犠牲にしてきた?

「いつ代わるかしばらく考えてきたが、新しい中期経営計画が始まるタイミングでの交代が適切だと考えた」。2日、都内で会見を開いた平井社長は感慨深げな表情でそう語った。その理由について「今年度は目標数値を上回る業績を見通せるようになり、元気なソニーが戻ってきたと言われるようになったこと」を挙げた。

確かに18年3月期は過去最高益を見込み、4月からは新たな中期経営計画がスタートする絶好のタイミングだ。

だが、12年の就任後は長らく業績を建て直せずにいた。「リストラばかりで成果がない」「ソニーを分かっていない」などとバッシングを受け続けた平井社長にとって、今はようやくイヌ型ロボットのアイボ復活など明るいニュースが出始めた「輝き時」だ。「本人はノリノリで次の中期経営計画もやるだろう」と社内でも見られていただけに、サプライズ交代であったことは間違いない。

平井社長の側近の一人は「本人としても達成感があったのだろう。何より社長在任中は私生活を犠牲にしてきたという思いもあるのでは」と推測する。幼少から米国で育ち、社長になってからも週末はオープンカーでのドライブなどの多様な趣味を大事にする「カズらしい引き際」(同)。リタイア後を充実させる傾向にある米国人のように、社長業に固執しなかったという見方だ。

■「眉間のシワ」好対照の吉田氏

一方の吉田氏。財務畑を歩み、投資家との対話を重んじるその人となりは「質実剛健」そのものだ。あるソニーグループの幹部は「社内の投資検討委員会で、最後まで頭を縦に振らないのが吉田さん」と語る。数十億円というソニーからすると少額の買収案件でも、必ず最後までその費用対効果を問いただすという。

CFOとして1年に4回ある決算発表でも、常に険しい表情で報道陣を相手にしてきた。その名物は「眉間のシワ」。一度だけ、17年5月の17年3月期決算時に「カメラ事業が好調なのは平井がカメラオタクだからかも」と冗談を口にし、ほおを緩めたことがある。だがその後の会見でも、「ソニーに必要なのは今こそ危機意識」と眉間のシワを崩すことはなかった。

カジュアルな服装やノリのいい英語で国際的にも「カズ」として知名度が高い平井社長とは、対極に見える吉田氏。海外ではゲームや映画、音楽などエンタメ事業の存在感の方が大きいソニーの社長には、遊び心やアイコンとしての役割も求められる。2日、「ソニーは自らを超えられなかった会社」とした吉田氏がそのプレッシャーに打ち勝ち、守りだけではなく攻めの経営も断行できればソニーの本当の復活となる。

(中藤玲)

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