2019年8月18日(日)

米アンダーアーマー、不振長期化も

2018/2/4 6:30
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スポーツ用品・衣料品大手の米アンダーアーマー(UA)は、機能性とエッジのきいたデザインを持つスポーティーな衣料品という評判で急拡大してきた。しかし、その成長にブレーキがかかり、不振が長引く可能性が出てきた。最盛期には最大手の米ナイキの追撃まで視野に入れる勢いを見せたが、創業者の政治発言で消費者から反感を受けるなどイメージも弱体化している。

アンダーアーマーは機能性とエッジのきいたデザインで顧客をつかんできた(ロイター)

アンダーアーマーは機能性とエッジのきいたデザインで顧客をつかんできた(ロイター)

UAは2017年7~9月期に売上高が前年同期比4%減の14億500万ドル(約1500億円)、純利益が58%減の5400万ドルに低迷した。ファッション衣料品のかじ取りを任されてきたスポーツファッション部門長が退任し、チーフデザイナーも18年春向け商品を最後に降板。数字は中核事業の衣料品戦略の失敗を如実に映したといえる。

UAは1996年にケビン・プランク氏がメリーランド州ボルティモアを本拠地に創業し、最高経営責任者(CEO)として率いてきた。同氏が学生時代にアメリカンフットボールの選手で、自分の経験と知識を生かした男性向けスポーツ衣料品と運動靴が品ぞろえの中心だ。

衣料品ではスポーツ選手の立場で「第2の皮膚」のように身体に密着するとうたった機能性を特徴とし、支持を得た。07年には6億ドルだった売上高が16年には48億ドルに伸びるなど、めざましい勢いを示した。

創業地のボルティモアは全米でも犯罪率、失業率の高さで悪名高い。それを逆手にとったローカル性のあるニッチブランドとして話題を提供してきた。しかし、さらなる成長を狙うには販路も広げざるを得なかった。

16年末には、大衆百貨店のコールズやディスカウント靴販売チェーンのDSWへの卸売りも開始した。それに伴ってブランドの希少性も薄れていく。

同時に全米のスポーツ用品店を主な販路として急速に拡大し、ネット通販の攻勢で実店舗業態が衰退する波も大きくかぶった。大手のスポーツオーソリティーの店舗の清算、UA商品が品ぞろえの2割近くを占めるとされる小売りチェーン、ヒベット・スポーツの業績悪化などからも立ち直れていない。

UAは北米市場での売上比率が77%前後と極めて高く、ネット通販事業の拡大や海外市場への着手を急ぐが、まだ効果があがらない。17年8月には本社で従業員数の2%にあたる280人の削減を発表した。

イメージの失墜に拍車をかけたのは、プランク氏によるトランプ米大統領への支持表明だった。

17年2月のテレビ番組でのインタビュー中に「トランプが大統領であることは米国の本当の資産だ」と発言。これに対し各交流サイト上で批判が広がっただけでなく、一部では不買運動が起き、調査会社のブランドウォッチの調査ではUAのイメージはポジティブからネガティブに転落してしまった。

スポンサー契約している全米プロバスケットボール協会(NBA)スター選手のステフィン・カリー(ゴールデンステート・ウォリアーズ)や、アメリカン・バレエ・シアターの主席ダンサーのミスティ・コープランドなどが非難する声明を出した。

販売環境の変化と、消費者の嗜好の変化に対応するには時間がかかるとプランク氏も認めている。数年前に女性の間で大流行したスポーツ衣料品を普段着として着る「アスレジャー」と呼ばれたスタイルも頭打ち。UAの経営環境はさらに厳しくなりそうだ。

(ニューヨーク=河内真帆)

[日経産業新聞2018年2月2日付]

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