2018年12月15日(土)

日本郵便、最優秀賞・名大発AI企業と配送最適化

2018/2/1 18:41
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日本郵便は1日、スタートアップ企業との協業で事業創造などを図るオープンイノベーションプログラムの成果発表会を都内で開いた。最優秀賞は人工知能(AI)による配送最適化を計画するオプティマインド(名古屋市)。日本郵政グループは1200億円のベンチャー投資計画も打ち出しており、前のめりなほど若い企業に接近中だ。

日本郵便のプログラムで最優秀賞を受賞したオプティマインドの松下代表(左から2人目)と、日本郵便の横山社長(左)=1日、都内

「ポスト・ロジテック・イノベーション・プログラム」は、起業家支援のサムライインキュベート(東京・品川)と共同で実施。こうした活動は日本郵便では初めての試みとなり、2017年9月に募集を始め、応募のあった105社からまず4社を選抜。日本郵便の担当部署の社員がメンターとなり、事業計画を策定し成果発表会に挑んだ。

最優秀賞のオプティマインドは名古屋大の研究成果を使い、独自のアルゴリズムで最適な配送計画をつくる。2月から郵便局で実証実験を始め事業化を検討し、5月以降は日本郵便以外にも販売する計画だ。松下健代表社員は「研究と社会のニーズの乖離(かいり)を埋めるために起業した」といい、「プログラムで検証する場と人材を提供してもらったのは大きい」と述べた。一方、日本郵便の横山邦男社長はオプティマインドを最優秀賞に選んだ理由を「eコマース対応は経営の最重要課題。社会変革のスピードが速いので自前主義では客のニーズに応えられない」という。

観客の投票による観客賞はあらゆるのモノがネットにつながる「IoT」を活用した紛失防止装置を開発するMAMORIO(マモリオ、東京・千代田)が選ばれた。

古い体質とみられる日本郵便だが、横山社長が「1871年、前島密によって郵便制度が生まれ、イノベーションの原点だった。革新的な技術を開発しお客様の生産性の向上につとめてきた」が述べたように、元は革新者だったとの自負もある。

足元は物流クライシスで課題が山積。昨年12月には遅配も相次ぎ、新しい外部のアイデアを採り入れて現状を打破したいとの思いは強い。1日の発表会資料には横山社長のコメントで「前のめり」という言葉が踊った。スタートアップ側からは一連のプログラムで日本郵便社員のアニマルスピリッツも感じられたようだ。

実際、起業家からは「(日本郵便側から)これ困っています。話決めましょうと次々と話が来て圧倒された」(オプティマインドの松下代表)、「堅いんだろうなというイメージを持っていたが、(荷物預かりの郵便局が)3月1日時点で31局まで増える。印象ががらっと変わった」(エクボの工藤慎一社長)という声が相次いだ。

日本郵政グループではゆうちょ銀行が1月30日、かんぽ生命と組みスタートアップなどに投資する1200億円ファンドの組成を発表したばかり。グループを挙げスタートアップに急接近している。ベンチャーキャピタル(VC)業界では、「1社あたり10億円規模の投資をできるプレーヤーが登場すれば、創業初期の投資がしやすくなりベンチャー投資全体が活性化する」(独立系VC首脳)との期待もある。

今回の賞には選ばれなかった企業との協業も今月から具体化する。エクボは2月1日から東京・渋谷、新宿や神奈川県鎌倉市などの5郵便局で荷物預かりサービスをスタート。マモリオは郵便局のバイクで紛失物探しの実証を始める。

日本郵便の横山社長は「社会の変革に起因する客のニーズに技術の発展とがうまくかみ合ってくるところにイノベーションが起きる」と述べる。"巨象"は事業やサービス、そして投資マネーの両方でスタートアップを通じて産業界に刺激を与え始めている。

(企業報道部 加藤貴行)

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