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眠り方改革で能率アップ 寝る前2時間スマホ断ち

政府主導の働き方改革などで長時間労働の是正への動きが出始めているが、睡眠の悩みを抱えるビジネスパーソンは多い。よく眠るコツや注意点などを、医師の資格と経営学修士号(MBA)を持つ経営コンサルティング会社ハイズ社長の裴英洙氏に聞いた。

――眠りの借金である「睡眠負債」が2017年の流行語になるなど、睡眠が注目されています。

「『寝不足で疲れがとれない』『しっかり寝たのに熟睡感がない』など日本人の成人の3人に1人が何らかの睡眠に関する悩みを持つという調査結果もある。スマートフォン(スマホ)や交流サイト(SNS)の普及がその一因だ。特にビジネスパーソンはいつでもどこでも寝る間際まで仕事ができるようになり、忙しい人ほど自然と睡眠時間が削られやすくなっている」

――最適な睡眠時間はどれくらいでしょうか。

「いろいろな説があるが、絶対的な尺度はない。例えば8時間よりも6時間寝た方が体調が良ければ、その人にとってはある意味正解(適切)だといえる。一般論に縛られすぎると、質の良い睡眠から遠ざかることになる」

「最適な睡眠時間を探るには可視化すればよい。まずは2週間、起きた時間と寝た時間を記録し睡眠時間の平均を出す。体調が良く仕事で通常通りのパフォーマンスを出せたなら、それを続けて問題ない。睡眠時間が人より多少短くても気にしなくてよい。『量より質』を肝に銘じてほしい」

――よく眠るために注意すべきことはありますか。

「『何をやるか』ではなく『やらない方がよい』ことを意識すべきだ。最もやりがちな悪習慣が、家で仕事のメール確認や調べ物のウェブ検索など、就寝間際のスマホ操作だろう。スマホの画面が発するブルーライトは、眠気を誘うホルモンであるメラトニンの分泌のバランスを崩してしまう。理想をいえば、スマホは寝る2時間前から触らないようにしたい」

「カフェインには覚醒作用があるので、コーヒーは午後5時以降は飲まない方が無難だ。帰宅中に電車内で眠ることも勧めない。睡眠のリズムが崩れ、その日の寝付きが悪くなる。就寝前にコンビニエンスストアに立ち寄ることも避けたい。照明が非常に明るく、その刺激でメラトニン分泌のバランスが崩れる。特に雑誌などを立ち読みすると脳が覚醒しやすくなる」

――昼寝はどうですか。

「眠くなれば昼でも寝るのが理想だ。仕事中に寝るのは不謹慎だと考えるビジネスパーソンもいるが、疲れた体と頭で仕事を続けるのはパフォーマンスが下がるだけで、睡魔と戦うのは無駄。管理職は部下のために昼寝を推奨してほしい」

裴英洙(はい・えいしゅ)氏 1998年金沢大医卒。外科医として働きながら同大大学院で医学博士、慶大大学院でMBA取得。2013年医療機関向け経営コンサルティング会社ハイズ(東京・新宿)設立。45歳。

「医学的にも午後2~4時は眠気が訪れる時間帯だ。昼食だけでなく生体リズムの影響もある。ただし昼寝は必ず20分以内を守るべきだ。それより長くなると脳は熟睡モードに切り替わり、起きた後も眠気に襲われて仕事のパフォーマンスが下がってしまう」

――週末の寝だめは効果がありますか。

「ビジネスパーソンの睡眠時間は平日より休日が30分~1時間長いという統計もある。寝だめすると体内時計が狂う。例えば金曜夜に寝すぎると土曜、日曜と就寝時間が遅くなり、月曜朝の目覚めが悪くなる。結果、週初からパフォーマンスが下がってしまう」

「休日は平日よりも2時間以上長く寝ないようにしたい。寝だめで睡眠負債は解消できない。どうしても疲れがとれない場合は、眠くても平日と同じ時間に一旦起き太陽光を浴びて体内時計をリセットしてから昼寝してほしい。平日も休日も睡眠時間はできるだけ一定にするのが望ましい」

――仕事で徹夜するときの対策を教えてください。

「徹夜すると確実にその後のパフォーマンスが下がるので、それを覚悟した時点で翌日の予定を切り替えてみてはどうだろう。徹夜明けは思考力や集中力が問われる業務ではなく単純作業を組み込む。昼休みに20分以内の仮眠をとり、早めに帰宅してその夜は十分な睡眠をとるべきだ。徹夜による睡眠負債はその日の夜に完済するのが鉄則だ」

――早起きの習慣を身につけるコツは。

「翌朝に楽しみなことを用意するとよい。語学の勉強や運動、読書などだろう。私は朝のコーヒーを楽しみに毎日床につく。自分だけの時間をつくると一日の充実度はぐんと高まる」

「朝一番の仕事の予定を入れるのも有効だ。ただプレッシャーが大きくなると眠れなくなるので気を付けたい。続かない場合は他人を巻き込んだり自分への褒美をつくったりするとよい。最低1週間続けられれば習慣に変わり始める」

(聞き手は企業報道部 角田康祐)

[日経産業新聞 2018年1月29日付]

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