石原さとみ『アンナチュラル』 法医学者が死因を究明
もし日本に死因究明のスペシャリストが集まる施設があったら――。『アンナチュラル』(TBS系)は架空の設定のもと、「不自然死究明研究所(UDIラボ)」を舞台に法医解剖医のミコト(石原さとみ)と同僚が不自然な死の真相を明らかにする1話完結のミステリー。女性制作陣が集結したことでも話題の連続ドラマだ。

新井順子プロデューサーと塚原あゆ子監督は『夜行観覧車』『Nのために』『リバース』など湊かなえ原作作品などをドラマ化してきたコンビ。今回は『逃げるは恥だが役に立つ』『重版出来!』(ともにTBS系)などの脚本で知られる野木亜紀子が、2人と組むことを希望した。
「野木さんは『Nのために』を気に入ってくれてご一緒させていただくことになりました。オリジナルのドラマに挑戦したいと思われていたようで、私も1話完結ものを作ってみたいと思っていたなか、今回の題材にたどり着きました」(新井氏、以下同)
新井氏は以前から、法医学に興味があったという。「死因不明は、近しい遺族にとってつらいこと。そのために、長年心に傷を負う人もいると思う。死因が分かることで死を受け入れ、前に進もうとする。そんな力強さを描けるのではないかと思いました」
刑事や科捜研でなく、今回は法医学の視点で原因不明の死に迫る。「ただ、法医学者には捜査の権限はないので、遺体の主が殺害されたものだとしても、ミコトたちが犯人探しをするのではありません。死因を突き止めることで事件を解決する物語にしなくてはいけなくて。再解剖したり、検査をしたり。警察ドラマにならないよう、物語を動かしていくのに苦労しています」
石原さとみは、この作品がTBS系連ドラの初主演作となる。「最近の石原さんはポップな作品で個性的な役が多かったと思います。今回は、いるだけで周りを明るくする彼女の魅力はそのままに、より等身大な役を演じてもらうなら、ということでキャラクターを考え、あまりキャッキャッしないよう心掛けました」

スタッフの中枢に女性が多いだけに、作品に女性ならではの視点が反映されるか尋ねると「あえて言うならミコトと同僚・東海林(市川実日子)の女子トークだったり、ミコトと男性陣との関係性の描き方だったり。とはいえ、この作品で恋愛に重点を置くのは違うと思うので、ミコトが解剖医の中堂(井浦新)と親しげなのを見て、医大生のアルバイト・六郎(窪田正孝)が気をもむ程度」とのこと。
物語は死を題材にしつつ、できる限り軽やかにしたいと新井氏。「野木さんらしい言葉遊びがちりばめられていて、スピード感もこれまでの日本のドラマになかったものになれば。展開も、冒頭からは予想もつかないところにたどりつくはずです」
ミステリーも物語もしっかりと楽しめる、満足度の高いドラマに仕上がっている。
(「日経エンタテインメント」2月号の記事を再構成 文/田中あおい)
[日経MJ2018年2月2日付]
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