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マイクロソフトに「逆アマゾン効果」の追い風

小売業がクラウド利用増

【シリコンバレー=兼松雄一郎】米マイクロソフト(MS)が31日発表した2017年10~12月期決算は売上高が前年同期比12%増の289億1800万ドル(約3兆1520億円)となった。けん引役はクラウドだ。同事業でMSの最大のライバルは世界シェア首位の米アマゾン・ドット・コム。物流・小売りなどでアマゾンが強大化したことによる警戒感から、ネットインフラではアマゾンへの依存を避ける動きも追い風になっているようだ。

MSのクラウド部門の売上高は15%増の78億ドルで、特にクラウドインフラ「アジュール」が98%増と大きく伸びた。同事業の利益率は過去最高の水準だという。決算発表後の電話会見でサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は「既存インフラと融合しやすい真の『ハイブリッド』のクラウドを提供できているのが強みだ」と強調した。

だが、これはいまやどのクラウド会社でも強調している点だ。むしろ気になったのはナデラ氏が決算ごとに名前を挙げるのが慣例となっているクラウドの主要顧客の顔ぶれだ。今回は米小売大手クローガーとロウズの名前が挙がった。クローガーは価格決定システムやマーケティングに、ロウズは在庫管理に使う店内ロボットにMSのクラウドインフラを使っている。守秘義務があるとは言え、どれも競合する技術やサービスを持つアマゾンには渡したくないデータを扱っている。

米ウォルマートなどの小売大手は取引先にアマゾン以外のクラウドサービスの利用を推奨し始めており「MSが受け皿になる動きが出ている」(MS幹部)という。米小売大手ターゲットもアマゾンから他社サービスへの移行を検討し始めた。アマゾンが17年夏に米高級スーパー、ホールフーズ・マーケットを買収して以降、直接の競合になった小売大手がアマゾンのクラウドを避ける動きが強まっている。

こうした動きは国際物流でも起こっている。アマゾンが一部で貨物船の運用まで始めたことで、デンマークの海運大手マースクは17年春からMSと組み、クラウドを使った国境をまたぐ物流管理のデジタル化を進めている。

米調査会社カナリスによると、クラウドの世界シェア首位アマゾンのシェアは4割に迫る勢いだが、2位のMSの成長率はアマゾンを大きく上回る。3位の米グーグルもMSに次ぐ高い伸びをみせている。この2社に強すぎるがゆえにアマゾンを使わない「逆アマゾン効果」が追い風になっていきそうだ。

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