2018年2月21日(水)

埼玉県、赤外線カメラ搭載ドローンで施設の劣化調査

南関東・静岡
2018/1/31 23:00
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 埼玉県は県有施設の建物劣化調査に、赤外線カメラを搭載した小型無人機(ドローン)を導入した。壁の亀裂など修繕が必要な箇所を職員が屋根などから目視で確認していたが、調査の精度と安全性が高まる。県有施設の老朽化が深刻化しており、破損が軽微なうちに修繕する予防保全を的確に進めて、維持更新の経費削減を図る。

 予算50万円で購入し、2017年12月に運用を始めた。ドローンは通常のカメラと赤外線カメラを付け替えられる。県によると赤外線カメラ搭載ドローンを活用するのは全国で初めてという。

 これまでは職員が屋根に登るなどして目視で建物の状態を確認していた。ドローンを建物の壁などに沿って飛ばし、通常のカメラを使えば、見えにくい場所の検査も可能になり調査時間が短縮。業務の安全性も高まる。

 赤外線カメラは物体が発する熱エネルギーを感知し、周囲との温度差から異常を検知できる。例えば外壁のタイルが浮いていると空気層ができて、その部分に熱がこもってタイルの温度が高くなる。浮きや亀裂、水漏れなど、目視では確認しづらい異常を的確に見つけられる。

足場を組まずに外壁を詳しく調べられる(2017年12月、さいたま市)

足場を組まずに外壁を詳しく調べられる(2017年12月、さいたま市)

 地上から赤外線を当てるより精度が高い。人が外壁をたたいて調べる全面打診調査の費用軽減も期待できるという。

 全国でインフラの老朽化への対応が課題となっており、県有施設の建物も45%以上が築30年を経過している。県は14年から30年間に1兆7568億円の維持更新費用がかかると試算。13年度に295億円だった負担額は、単年度平均で586億円、ピーク時の29年には900億円に上るとみる。

 このため施設の利用状況などを評価し存続、廃止、集約を判断。存続させる施設のうち大規模な約100施設について15~18年度に長期保全計画の策定を進めている。必要に応じて修繕し、建て替えを築65年から80年に長寿命化する方針だが、建物が傷みすぎると修繕費も多額になる。財政が厳しい中、劣化調査で工事の優先度を決め、損傷が浅いうちに直して工事費用を抑える。

 17年度に3施設でドローンによる調査を試行。18年度は24施設の調査に用いる。約70施設は目視で調査済みだ。各施設の長期保全計画は5年ごとに調査し見直すことになっており、その際に使っていく予定だ。日常点検や定期点検などにも広く活用していく。

 県管財課は「新技術の導入で調査の精度が格段に高まるので、維持更新費用の削減につなげていきたい」と話している。

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