後継難の中小工場をグループ化 由紀HDが同業買収

2018/1/31 15:57
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後継難の中小工場をグループ化してものづくりの技術を守る――。金属加工メーカーの由紀精密(神奈川県茅ケ崎市、大坪正人社長=写真)が設立した由紀ホールディングス(HD、東京・中央)は、VTCマニュファクチャリング・ホールディングス(HD、東京・中央)の発行済み株式の70%を取得した。VTCHDは中小メーカー7社を傘下に置く持ち株会社で、由紀HDのグループ入りで中小メーカーの競争力を底上げする。

由紀HDはロケット部品など宇宙航空分野への進出で知られる由紀精密が2017年10月に設立。技術はあるが後継者不在で廃業の危機にある中小製造業をグループ化することを目的としている。由紀精密の大坪社長がHD社長を兼務し、傘下に由紀精密などを置いている。

今回グループに加わったVTCHDは、再生コンサルタントなどを手がける是松孝典氏が大坪氏と同様の目的で設立。ワイヤハーネス製造の明興双葉(東京・中央)をはじめ金属加工メーカー、関連商社など国内5社、海外2社をグループに持つ。

VTCHDは由紀HDの傘下入り後も是松氏が引き続き社長を務める。由紀HDは製造技術や新規設備などを通してサポートする計画だ。大坪社長は「グループ化することによってVTCHDが持つ強さを加速していきたい」と力を込めて話す。

大坪氏は由紀精密の3代目社長で13年に父親から経営を引き継いだ。由紀精密の売上高は4億2000万円(17年9月期)で社員35人。由紀HDは今回の株買い取りを経て、売上高約66億円、社員約540人となる。拠点はこれまでの茅ケ崎などに加えて長野県上田市、山梨県南アルプス市、香港や深圳などに広がる。由紀HDは今後もグループ化を加速。21年までには現在の11社を15社前後に増やし、売上高は100億円を目指す。将来的には上場も視野に入れている。

戦後創業の世代交代などで中小企業は後継者難が深刻化。M&A(合併・買収)や持ち株会社を通じた所有と経営の分離などさまざまな打開策の模索が進められている。今回の由紀HDの取り組みは新たな事業承継の手法として一石を投じるものとなる。

由紀HDがモデルにするのは仏コングロマリット、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループ。ブランドやそれまでのやり方を残しながら必要な開発投資を加えて一緒に成長することで知られ、大坪氏はこの手法を中小のものづくりに取り入れる。経営はそれまでのトップに継続の意思があれば続けてもらう考えで、VTCHDはこれに沿う形となる。一方、それまでの経営者が引退したい場合は事業に合致した人物を経営者に据える形で検討する。異業種を参考にした取り組みはさまざまなインパクトをもたらす可能性がありそうだ。

(企業報道部 中沢康彦)

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