2018年5月25日(金)

フェイスブック、苦渋の一歩 仮想通貨の広告禁止

2018/1/31 14:01
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 フェイスブックは1月30日、仮想通貨や仮想通貨を使った資金調達(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)の広告を全世界で禁止すると発表した。これまで各国の規制当局が進めてきた取り締まりにフェイスブックが加わった格好だ。世界に20億人のユーザーを抱え、ネット広告市場で高いシェアを持つ同社が広告を締め出す影響は大きい。

■ロシア疑惑が発端

 フェイスブックは今回の広告禁止について「意図的に(禁止の)対象を広範にしている」としている。全ての広告が詐欺に関わっているわけではないが、その見極めはフェイスブックでも困難だ。利用者に不安を与えないために当座の措置として全面禁止という厳しい対応をとったもよう。「違法かどうか」が基準の規制当局より厳しい運用といえる。

 米国ではフェイスブックのSNS(交流サイト)ページや動画サイトのユーチューブなど各種ネット上に「仮想通貨の天才」と名のる男性の広告が出回っており、一部メディアが詐欺の疑いを持って取り上げていた。ツイッター上にもICOのトークン販売をうたう宣伝投稿が流れている。

 フェイスブックはこれまでも薬物関連やポルノまがいなど社会にとって有害な広告の出稿を禁じる措置をとってきた。いずれも広告に影響を受けたユーザーやその周辺に悪影響が広がることを防ぐためだ。今回、仮想通貨とICOもこの一部に加わることになる。

 ただ、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は仮想通貨の土台となるブロックチェーン技術には寛容だったことで知られる。同氏を広告禁止へと突き動かしたのは政界で強まるロシア疑惑の追及だ。

 フェイスブックは2016年の米大統領選でロシアが介入した偽ニュースや広告の掲載を許し、社会の分断を招いたとされる。ザッカーバーグ氏は今年に入り、広告よりも友人の書き込みを優先して表示したり、偽ニュースを抑制したりする改善策を相次ぎ打ち出している。だが、偽ニュース策については、ニューズ・コーポレーション会長のルパート・マードック氏が、報道機関を格付けするなら「ニュースの掲載手数料を払うべきだ」と主張し、対立が深まっている。

■何が正当か、見極め困難

 仮想通貨の問題に詳しいジョージタウン大学の松尾真一郎特任教授は「仮想通貨もICOも法的な位置付けが定まっておらず何が正当かを見極めることは困難だ」と話す。今年11月から始まる米中間選挙を前に、偽ニュースに対する政界の監視の目は厳しくなっている。フェイスブックも失った信頼を回復したい。こうしたプレッシャーがあわさり、「疑わしきは罰する」形で厳しい態度となったとみられる。

 「場」を提供するだけでなく、そこに流通するコンテンツの規制にどこまで関与すべきか、デジタルプラットフォーム企業の姿勢が問われている。グーグルやツイッターなど他のプラットフォーム企業がどう動くか、その対応は仮想通貨を広告を流してきたテレビなどの旧来メディアにも影響を及ぼしそうだ。

(シリコンバレー=中西豊紀)

詐欺か革命か ICOに沸くシリコンバレー ベンチャー企業が仮想通貨で資金調達をするICO。6月以降に企業に流れた額では従来型のベンチャーキャピタル(VC)を上回る状況が続く。法規制が無くリスクが高いとの指摘も少なくないが、それでもブームは止まらない。待ち受けるのはバブルの崩壊か、それとも新たな金融技術の誕生なのか。

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