2018年11月15日(木)

トランプ氏、景気自賛 インフラ投資を二の矢に

2018/1/31 12:54
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【ワシントン=河浪武史】トランプ米大統領は30日の一般教書演説で、株価の上昇や失業率の改善など好調な経済を自らの成果としてアピールした。就任1年目に10年間で1.5兆ドル(約163兆円)という巨額減税を成立させ、金融部門やエネルギー分野の規制緩和にも打って出た。2年目は巨額のインフラ投資で景気をもう一段押し上げ、今秋の中間選挙まで命脈をつなぐ。

「議会には少なくとも1.5兆ドルのインフラを生み出す投資法案の策定をお願いしたい」。トランプ氏は一般教書演説でそう主張し、巨額投資案を2年目の経済政策の柱に据えた。

トランプ氏は16年の大統領選で10年で1兆ドルという巨額インフラ投資案を掲げていた。それを就任2年目の一般教書演説では規模を1.5倍に一気に拡大。就任1年目の巨額減税に続き、早々に二の矢を放って景気の押し上げを目指す。

ただ、その内実は分かりにくい。1.5兆ドルの投資計画は財源不足の連邦政府予算で全て賄うのではなく「州・地方政府や民間資金を呼び込む」(トランプ氏)。許認可の簡素化などで官民全体のインフラ投資を後押しし、連邦政府と地方、民間合わせて1.5兆ドルという目標を達成する考えだ。地方や民間の足並みがそろわなければ、計画は簡単に瓦解する。

政権1年目の経済環境は順調だ。失業率は4.1%と約17年ぶりの水準まで下がり、トランプ氏も演説で「大統領選後に240万人の雇用を創出した」と成果を誇った。

にもかかわらず政権支持率は38%と低迷し、就任1年目の大統領としては戦後最低だ。大型減税を成立させたが、足元の好調経済は金融危機からの世界的な自律回復が主因でトランプ政権の政策効果との評価は少ない。

それでもトランプ氏は好調景気に政権の命運をかける。日本と異なり巨大な国土を持つ米国は、いまだにインフラ不足だ。慢性的に起きる都市部の交通渋滞で、年1600億ドルもの経済損失があるとの試算もある。インフラ投資で生産性が高まれば、潜在成長率の押し上げにもつながる。

通商政策でも国内投資と国内雇用を後押しする「米国第一主義」を強める。就任1年目の実績は北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉にこぎつけた程度だったが、2年目の照準は7千億ドルを超す貿易赤字の半分近くを占める中国になりそうだ。米産業界は中国の知的財産権の侵害などを問題視しており、トランプ氏も「自国法の強力な執行で米労働者を守る」と演説で力説。貿易制裁措置も辞さない考えを明らかにした。

ただ、近視眼的な経済政策には副作用も多い。連邦政府債務は20兆ドルを超え既に過去最大。インフラ投資に政府予算を投じれば、財政悪化で長期金利にはさらに上昇圧力がかかる。

貿易面でも関税引き上げなどの強硬策が続けば、国内では物価上昇を招き、国際的にも関税措置の報復合戦につながりかねない。

「トランプ景気」を支えたのは異例の低金利と低物価だった。政権の景気頼みが行き過ぎれば、好調経済の基盤そのものが崩れるリスクがある。

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