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スノーボードHP平野 勝利の4回転コンボ

平昌へ メダルへの道

あどけなかった少年は4年の年月を経て、眼光鋭い勝負師の顔つきになった。スノーボード・ハーフパイプの平野歩夢(木下グループ)はソチ五輪の銀メダルから階段を上るため、誰もなし遂げたことのない大技を見据えながら、一つ一つ歩みを進めてきた。

平野は1本1本を丁寧に滑る=共同

前人未踏のルーティン(技の構成)を大舞台を前に完成させた。28日、米コロラド州アスペンで行われたプロ最高峰の大会「冬季Xゲーム」。平野は回転軸をずらしながら4回転する大技「フロントサイドダブルコーク1440」に、逆足の構えから別の4回転技「キャブダブルコーク1440」をつなげ、完璧に着地。史上初めて4回転の「コンボ」を実戦で決めたスノーボーダーとして、歴史の一ページをつくった。

「この4年、歩夢ほど新たな技に果敢に挑んできた選手はいない」とスノーボード雑誌「BACKSIDE」編集長の野上大介氏はいう。しかし、「ノリ」でそれを試してきたことはない。練習でもおぼつかないまま新技を実戦に使おうとする選手も少なくないなか「少ない回転から段階を踏んで、何度も反復しながら進める。一本一本すごく丁寧に、繊細に滑るのが特徴」と村上大輔全日本コーチは語る。

耳から下げたピアスやくるっと巻いた「イマドキ」の髪形。そのファッションから浮薄なイメージを抱けばその実像を見誤る。中3だったソチから「人として変わった」と平野は話す。「自分がどうなりたいとか、どういう滑りをしたいとか考えるようになった。食事や私生活も変わった」。口数は決して多くないが五輪への思いを一つ一つ言葉に紡ぎ、視線はまっすぐに前を見つめる。

昨年3月に負ったけがは誤算だった。プロ大会の「USオープン」で4回転の着地に失敗し、ボトムに跳ね返された。左膝の靱帯損傷に加えて肝臓も痛め、約2週間の絶対安静を余儀なくされた。

6月に雪上に戻るまで、これほど長くスノーボードから遠ざかったことはなかった。「感覚も鈍ったし、遅れた分、心配はあった」。しかし、時間を無駄にしなかった。「イメージだけは人一倍」しながら、取り組んだのが、高回転の大技の土台となる地道な体幹の強化。W杯の種目別優勝を飾った16歳の新鋭、戸塚優斗は遠征や合宿で一緒になった平野が、部屋でも腹筋を黙々と続ける姿に「刺激を受けた」。

昨年12月のW杯。恐怖心に打ち勝ち、けがを招いた4回転に挑んで完璧に成功。スーパースター、ショーン・ホワイト(米国)を抑え優勝した。すると年明けのW杯でホワイトが今度は100点満点をたたき出した。Xゲームでの平野の得点は99点。昨年の世界選手権王者、スコット・ジェームズ(オーストラリア)が98点で迫る。

三つどもえといわれる本番では恐らく、4回転の連続技で雌雄を決する史上最高レベルの戦いになる。もちろん、一歩も引くつもりはない。「圧倒的な滑りがしたい。そこに後悔は残したくないんで」。欧米勢が席巻してきた歴史を、五輪で塗り替える準備は着々と進んでいる。

(西堀卓司)

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