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北欧諸国、ロシアへの警戒高まる

フィンランド、NATO関係強化の大統領再選

【ヘルシンキ=小滝麻理子】北欧のフィンランドとスウェーデンでロシアの軍事的脅威への警戒感が高まっている。28日に投開票したフィンランド大統領選は、北大西洋条約機構(NATO)との関係強化を推進するニーニスト現大統領が大勝した。スウェーデンもロシアの脅威を念頭に徴兵制を復活した。両国が掲げてきた中立政策は揺らぎがみえ、欧州の地政学にも影響を及ぼす可能性がある。

フィンランド大統領選では、ニーニスト氏が過半数を上回る62.7%の票を獲得。決選投票を待たずに再選を決めた。大統領は外交や防衛を担い、任期は2024年までの6年。「欧州とロシアの双方と適切な距離を取るバランスのよい外交手腕が評価された」。現地メディアの多くは再選の理由をこう評する。

フィンランドは欧州連合(EU)加盟国だが、NATOには加盟していない。転機はロシアによる2014年のクリミア半島併合だ。

ニーニスト氏は直後に西側のリーダーとしていち早くロシアのプーチン大統領と面会。その後もバルト海沿岸諸国との間で航空の安全を確保するよう働きかけた。

その一方で、NATOとの関係を巧みに強化した。非加盟ながら、16年にワルシャワで行われたNATO首脳会議に参加し、地域の安全保障上の課題などを説明。英軍が主導する合同演習などにも加わるようになった。EUとはサイバー防衛研究などで協力し、対ロシア制裁も支持する。

フィンランドは過去にロシアと戦火を交え、現在も約1340キロにわたり国境を接する。あるヘルシンキ市民は「ロシアの脅威は身にしみているので、ロシアを過度に挑発せずに西側と関係を強化するニーニスト氏の慎重な外交戦略はしっくりくる」と話す。

最新の世論調査ではフィンランドのNATO加盟への支持は約2割にとどまる。ニーニスト氏は選挙直前のインタビューで「NATO加盟は考えていない。ただ、もしロシアが欧州全体を敵視するようなことになれば、話は別だ」と話した。

北欧諸国ではスウェーデンがフィンランド以上に、ロシアへの警戒感をあらわにする。同国は10年に廃止した徴兵制を、17年に復活すると決定した。同年秋には、バルト海で活動を活発化させるロシアへの対応強化などを目的に、陸海空軍の約2万人が参加する軍事演習を開始。過去20年で最大規模になった。

スウェーデンは今秋に総選挙を控え、NATO加盟の是非も含めて対ロシア政策は争点の一つとなりそう。北欧諸国は様々な歴史的要因もあり、デンマーク、ノルウェーがNATOに加盟、スウェーデンとフィンランドが非加盟で中立政策を取ってきた。微妙な均衡が今後どう変わるかが注目される。

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