サノフィ、ベルギーの抗体医薬買収へ 5200億円で
【パリ=白石透冴】仏製薬大手サノフィは29日、抗体医薬を手掛けるベルギーのアブリンクスを39億ユーロ(約5200億円)で買収すると発表した。血液、呼吸器など広い分野の疾患で同社の開発力が展開できると判断した。サノフィは22日にも1兆円を超える買収を発表しており、M&A(合併・買収)による事業拡大を加速している。
アブリンクスの2016年度の売上高は約8500万ユーロ。分子が小さく扱いやすい抗体「ナノボディー」の研究で先行する。血小板が減り血栓ができるなど命に関わる難病「血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)」向けの抗体を開発している。抗体は欧州連合(EU)で審査中で、米国でも審査を受ける予定という。
サノフィは血液関連の難病は発症数は少ないものの、抗体の市場は伸びるとみている。アブリンクスは呼吸器分野の疾患でも別の抗体を開発中で、画期的な医薬となりうる可能性があるとしている。サノフィの既存事業との相乗効果を目指す。
4月にも既存株主から1株45ユーロで買い取る。デンマークのノボノルディスクも1月、26億ユーロでの買収をアブリンクスに持ちかけていたが、合意に至っていなかった。
サノフィのブランディクール最高経営責任者(CEO)は「当社は研究開発(R&D)分野の改革を進めていく」などとコメントした。