名大 シート状炭素分子 大きさ自在の技術
■名古屋大学 伊丹健一郎教授と村上慧特任准教授らはナノサイズのシート状の炭素分子「グラフェン」を合成する技術を開発した。簡単な工程で狙った構造のものを作れる。グラフェンの大きさなどを制御することで、電気の通しやすさを調節できるという。有機ELディスプレーなどの材料に役立つ可能性がある。
グラフェンは炭素原子で構成する六角形がつながったシート。研究チームはこの六角形の構造が直線状に並んだ物質に注目した。パラジウム触媒を使い、この直線状の物質同士を結合させてグラフェンにする技術を開発した。
従来の製造法では狙った構造のグラフェンを合成することは難しかった。新技術では原料となる直線状の物質の長さを自在に変えられるため、様々な大きさのグラフェンを作り出せる。工程を減らせるため、製造コストの低減にもつながる。米科学誌サイエンス(電子版)で発表した。