2018年4月27日(金)

甘い管理体制、流出招く 仮想通貨市場に冷水
コインチェック問題

仮想通貨
ネット・IT
2018/1/28 2:00
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 仮想通貨取引所コインチェックからの巨額資金の不正流出が発覚して一夜明けた27日。多額の顧客資金を預かっていたにもかかわらず甘い管理を放置してきた経営姿勢が分かってきた。コインチェックは28日未明、不正流出した仮想通貨「NEM(ネム)」の全保有者約26万人に対して自己資金を使って約460億円を返済すると発表したが、今回の不正流出問題は仮想通貨市場全体に対する信頼を大きく損ねた。

 「当社は原則としてコールドウォレットですべての通貨を管理している」。仮想通貨取引所を運営するQUOINE(コイン、東京・千代田)の栢森加里矢社長は自社で扱う仮想通貨の管理についてこう説明する。

 コインチェックがNEMを流出させた原因の一つが、ネットワークに常時接続している「ホットウォレット」での管理だった。ネットから隔離した「コールドウォレット」で管理していれば不正アクセスを防げたが「技術的な難しさと人材不足から対応できていなかった」(コインチェックの和田晃一良社長)。

 コインチェックは別のシステム上の管理体制も怠っていた。仮想通貨には秘密鍵と呼ぶ暗証コードがあるが、これだけでは外部のハッキングで破られる恐れがある。

 このため取引所は「マルチシグ」と呼ぶ仕組みを取り入れており、秘密鍵を複数に分割して別々に管理。ハッキングの難易度を高め、盗難の可能性を減らすようにしている。しかしコインチェックはNEMでその仕組みを採用していなかった。

 コインチェックの不正流出は、幅広い利用者に影響が出そうだ。

 証券会社や外国為替証拠金(FX)取引会社は預かり資産を分別管理したうえで信託銀行の信託口座に移し、顧客資産は保全されている。さらに証券業界は資産返還に支障が生じる場合は補償する共同基金を準備するなどの安全網もある。一方、仮想通貨業界はそのような制度が未整備だ。

 コインチェックは28日未明にNEMの全保有者26万人に約460億円を返金すると発表した。顧客はひとまず安心だが、NEMが消失したままだと顧客への返済資金はコインチェック自身が損失としてかぶることになってしまう。

 NEM財団のジェフ・マクドナルド副代表は27日、ネット動画上で「コインチェックと協議し、他の取引所と連携しながら不正アクセスの解明に取り組む」と表明した。ただ取引履歴を運営者側で変更し、不正アクセス前の状態に戻す「ハードフォーク」の実施については否定した。今回の不正流出はNEMの技術そのものの脆弱性が原因ではない。このためハードフォークは世界の取引参加者の同意を得られにくいとみられる。

ビットコイン決済を取りやめた飲食店(27日午後、東京・銀座)

ビットコイン決済を取りやめた飲食店(27日午後、東京・銀座)

 今回の騒動は、上昇軌道をたどってきた仮想通貨市場に冷や水を浴びせた。NEMの価格は流出騒動直後に約2割下落し、ビットコインやリップルなどの他の仮想通貨もつれ安した。価格高騰を受けて昨年末にかけて仮想通貨取引に続々と参入してきた個人が不正流出に不安を抱き、市場から離れる可能性もある。

 影響はビットコインを使った商品やサービスの決済にも広がる。コインチェックは27日、ビットコインによる決済サービス「コインチェックペイメント」について、同日夕から日本円の出金や新規支払いの受け付けを停止すると発表した。

 リクルートライフスタイル(東京・千代田)はコインチェックと組んでメガネスーパーなどに決済サービスを提供してきたが、26日午後5時から自主的にビットコイン決済への対応を止めた。

 コインチェックのサービスを利用していた「回転寿司酒場 銀座沼津港」(東京・中央)は27日、ビットコイン決済を一時中止すると自主的に決定。長浜賢店長は「決済した分が入金されるか不透明だと感じて中止にした。販促につながっていたので残念」と話す。

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