/

発明から事業への懸け橋を 本社シンポ、天野教授講演

日本経済新聞社は27日、「ニッポンの革新力」シンポジウムを都内で開いた。2014年にノーベル物理学賞を受賞した名古屋大学の天野浩教授は基調講演で「発明をイノベーションにつなげていかなければならない」と強調した。パナソニックの宮部義幸専務執行役員らが日本からイノベーションを生み出す課題などを議論し、発想の転換の必要性を指摘した。

冒頭講演した天野教授は、受賞につながった青色発光ダイオード(LED)が市場を開くのに時間がかかった経験を踏まえ、イノベーションにつなげる仕組み作りの重要性を強調。「大学にゼロから1を生み出す研究はある。だが1を10にする研究はない」と話した。

天野教授は基礎研究からイノベーションまで一気通貫で取り組むため、60超の企業や大学、公的機関と協力する取り組みを紹介した。発明とそれを事業に結び付けるイノベーションの間の溝を解消する狙いだ。

青色LEDのカギになる材料「窒化ガリウム」の可能性も言及。研究が進めば無線給電などであらゆるものにいつでもエネルギーを供給できる「IoE社会が実現する」と指摘した。

続いて講演したパナソニックの宮部専務執行役員は、高品質の製品を大量に作る「工業社会」時代の発想が日本企業に根強いことを、イノベーションを生み出せていない要因と指摘した。製品のデジタル化、あらゆるモノがネットにつながるIoTの進展で「大きく変わっている超スマート社会を照準に、発想の転換が必要だ」と述べた。

講演後にはスタートアップ企業の経営者も含めて討論した。ペプチドリームの窪田規一会長はスタートアップ企業が米国で多く生まれる一方、失敗事例も多い点に着目。「米国は失敗しても人材や知的財産を再活用しようという動きがある一方、日本はできていない」と述べ、失敗を生かす経験が必要と分析した。「技術で勝ってビジネスでも勝つ」と意気込んだ。

マイクロ波化学の吉野巌社長は大学と企業の間で人材交流が進まない点を課題としてあげた。大学にもビジネス感覚を持つ研究者がいるとし「人の出入りをもっと自由にしたら色々なイノベーションが生まれる」と話し、兼業しやすい仕組みの必要性を指摘した。

パナソニックの宮部専務執行役員は「ヒト・モノ・カネに比べ、情報が『産業資源』として扱い切れていない」と述べた。クボタの飯田聡取締役は、農業で人工知能(AI)などの活用が進んでいると強調。「あらゆるデータやAI、自動運転などを組み合わせることが大事」とし、ITインフラの整備などでは国の支援の必要性も示した。

シンポジウムは日本経済新聞で2017年11月から連載を開始した「ニッポンの革新力」の関連イベントとして開いた。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

ニッポンの革新力

この10年、日本はノーベル賞の受賞ラッシュだった。しかし、この先も国内が沸き上がるニュースが生まれるとは限らない。技術立国をどう再建するか。企業や大学、研究機関では過去の成功体験にとらわれない取り組みを追う。

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン