2018年5月25日(金)

未来面「世界を変えよう。 」

フォローする

 日本経済新聞社は、読者や企業の皆さんと一緒に日本の課題について考え、議論する「未来面」をスタートしました。今期のテーマは「世界を変えよう。」 革新的なアイデアをお寄せください。企業のトップが選んだ優れたアイデアは新聞紙面や日経電子版で紹介します。アイデアの投稿はこちらから。
過去の優れたアイデアはこちら

あなたが考える50年後の損害保険は何ですか
原典之・三井住友海上火災保険社長 経営者編第9回(2月6日)

2018/2/6 2:00
保存
共有
印刷
その他

三井住友海上火災保険の原典之社長

三井住友海上火災保険の原典之社長

 損害保険会社の主力商品は、時代とともに変遷してきました。今から100年前は航海のリスクに備える海上保険が売り上げの8割を占めていました。その後、高度経済成長期になって持ち家が増えると、火災保険が5割を占める中核商品となり、さらにモータリゼーションの進展によって、現在は自動車保険が5割を超えトップです。そして今、自動車保険も転機を迎えています。完全自動運転が普及すれば、保険の商品設計は大きく変わっていくでしょう。

 では次の中核商品は何か。これから先、損保会社の担う大きな役割としてデジタル社会、サイバー社会におけるリスクへの対応があると思います。昨年、身代金を要求するコンピュータウイルスで150カ国20万台以上のPCが被害にあったとされる事件が発生しました。システムや保存データの破壊、情報漏洩などのリスクに対する備えは不可欠です。当社では中堅・中小企業のお客さまを中心に保険だけでなく防御システムの構築も包括した提案をしています。

 高齢化社会を迎え、新しい保険も登場しています。一昨年、列車の運行を妨害した認知症患者の家族に損害賠償を求めた訴訟の判決が出て話題になりました。こうしたリスクに備える保険や、独居老人が孤独死した場合の空室期間の家賃を保証する保険も誕生しています。自動車保険でも、高齢ドライバーが予定のルートを外れたら警告を発したり、事故が起きた場合に自動的にコールセンターにつながる機能を付けたりした商品の提供を始めました。

 また若者の車離れもあり「車は持っていないが、たまに運転する」というニーズに応えるためには、運転する日だけ入れる自動車保険が便利です。自動車保険に限らず、ライフスタイルの変化によって必要な時に必要なリスクを補償するオンデマンド型の保険も増えてくるでしょう。損害保険がもつ可能性は無限です。

 今後デジタル社会はますます広がり、先行きが一段と予測しにくい時代です。そんな時代に当社が必要とする人材は、これから先の社会が大きく変わる中で損保会社がどのような役割を果たすのか、そしてどんな損害保険が必要となるのか、想像力を働かせ、未来像をイメージできる人です。

 そこで若い世代の読者にお願いです。今から50年後、社会はどんな損害保険を必要としているでしょう。私たちが子供のころアニメで見ていた空飛ぶクルマ、宇宙旅行などが実現しているかもしれません。皆さんの柔軟な想像力で、50年後の損害保険会社のビジネスの可能性を切り開いてください。

原典之・三井住友海上火災保険社長の課題に対するアイデアを募集します。投稿はこちらから

■編集委員から 損害保険会社の中核商品である自動車保険が変革を余儀なくされています。運転者は座っているだけでいい完全自動運転車がまもなく実現するためです。

 IT(情報技術)で運転を完全に制御すれば、渋滞も事故も大幅に減少します。事故が減れば保険料も変わりますし、万一事故が起きた場合、それは運転者のミスなのか、コンピューターのミスなのか、検証が必要になります。

 原社長に伺ったところ、国土交通省で完全自動運転車の自賠責保険の仕組みを検討しており、損保会社の任意保険も、それに準ずることになるだろうとのことでした。運転者が悪いのか、クルマが悪いのか、地図や道案内を配信する会社が悪いのか、様々なケースが考えられます。運転者の保険料は現状より低くなりそうですが、自動車メーカーや情報配信会社の保険加入で、損保会社の収入は増えるとの試算もあります。自動運転は夢の世界ですが、まだ課題も多いようです。(編集委員 鈴木亮)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ連載トップ


日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報