トランプ政権2年目(4)広がる民意の溝
保守・リベラル 極端に偏り

2018/1/28 21:00
保存
共有
印刷
その他

「トランプ大統領がいなければ自分は失業していた」。米中西部インディアナ州のブライアン・イーストンさんは深く感謝する。同氏は米空調大手キヤリアの従業員。キヤリアは同州の工場をメキシコに移転する計画だったが、トランプ氏が当選直後に中止を命令。法人減税にも踏み切り「自分の仕事は安泰になった」と胸をなで下ろす。

就任から1年を経て、トランプ氏の全米支持率は45%から36%(米調査会社ギャラップ調べ)に下がった。ただ、当選の原動力となった中西部ラストベルト(さびた工業地帯)を回ると、支持者の評価は驚くほど高い。特に好評なのは減税だ。「私の収入も年400ドル増える」とイリノイ州の元トラック運転手、ステファン・バリチさんはほくほく顔だ。

「トランプ支持の地盤はますます強固になっている」と話すのは、オハイオ州のピザ店経営者、マット・パリスさん。トランプ氏の過激な発言も「中西部の一本気気質からみると、かえって正直で好感がもてる」。ロシア疑惑も「トランプ本人がロシア側と結託した証拠はない」と同州の建設作業員、アラン・バナーさんは気にしない。「中西部はトランプの成功を望んでいる」

こうした評価は都市部では一変する。就任2年目を迎えた20日、首都ワシントンでは数万人がデモに集結。ワシントン近郊に住むエープリル・エドワーズ・マクガスキーさんは「トランプ政権がこれ以上続くのは耐えられない」と訴える。

「200ドルと夢だけを持って米国に来て20年になる」と語るのはリトアニア移民のロカス・ベレスニオバスさん。アフリカ諸国などを「肥だめ」とさげすんだトランプ氏に反発し「米国民であることを誇れる国のままでいてほしい」と語る。

ホワイトハウス前ではトランプ氏の帽子をかぶった支持者数人を、大勢のデモ参加者が取り囲んでいた。「恥だ」「トランプを弾劾せよ」と怒鳴りつけると、トランプ支持者は「民主党は負け犬」というプラカードを高く掲げた。支持者の顔には言葉が通じない連中、とでも言いたげな冷たい笑みが浮かんでいた。

保守とリベラル。米国の二大政党制を支える政治思想の溝が広がっている。米調査機関ピュー・リサーチ・センターの意識調査によると、2004年には民主党員の32%が平均的な共和党員よりも保守的で、両党員には重なり合う部分も多かった。だが17年には3%に激減。保守・リベラルともに極端に偏り、折り合う余地は減った。

「トランプチルドレン」の登場も近そうだ。11月の米議会中間選挙に向け穏健な共和主流派議員に対抗し、極右のトランプ支持者が続々と立候補を表明している。彼らにとっては分断をあおることが当選への近道となる。

米の国際的な指導力は低下する一方だ。1月発表のギャラップの134カ国での調査では、米の指導力への世界の支持率はオバマ前政権時の16年の48%から、17年は30%に下落し、中国(31%)やロシア(27%)並みになった。世界でも「自国第一」を掲げる政治家が英仏やオランダ、オーストリアなどで台頭する。2年目でもやまないトランプ旋風は各国にも分断を広げている。

(ワシントン=川合智之、芦塚智子、シカゴ=野毛洋子)

=おわり

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]