2018年5月22日(火)

インテル、ブームに乗れず 売上高最高も伸びぬ期待

2018/1/26 23:00
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 米インテルが25日発表した2017年10~12月期決算は、売上高が前年同期比4%増の170億ドル(約1兆8600億円)と四半期ベースで過去最高だった。旺盛なクラウド投資の需要を取り込み、データセンター向けCPU(中央演算処理装置)の販売が伸びた。ただ、同じブームに沸く他のIT(情報技術)大手と比べ、株式市場の評価は盛り上がりを欠く。

 「前進はしているが、さらにやるべきことがある」。25日、インテルのブライアン・クルザニッチ最高経営責任者(CEO)は決算会見の冒頭でこう切り出した。1月に表面化したCPUの脆弱性への対処について繰り返し強調。素早い情報開示や適切な修正措置を講じ、問題を克服する半導体の開発を急ぐという。

 脆弱性はCPUの仕組みに起因し、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)や英アームが設計した半導体も同じ課題を抱える。それでも多くの人が「インテルの問題」ととらえるのはそのシェアの高さゆえだ。

 米調査会社IDCによると、インテルのCPUのシェア(17年1~9月)はデータセンターに置くサーバー向けで98%。市場拡大の恩恵をほぼ丸ごと取り込み、10~12月期のデータセンター部門の売上高は20%増えた。だが100%近いシェアでは市場の伸び以上の上積みは期待できない。

 今回の問題で顧客はインテル1社に調達を依存するリスクも痛感した。折しもAMDがデータセンター向け新製品を投入し、アームと組むクアルコムも参入を決定。IDCのシェーン・ラウ氏は「他社から調達する選択肢も含め、今まで疑いなく採用してきたインテル製CPUの見直しが広がる」と指摘する。

 ブームに乗りきれないのは、市場の独占による限界やリスクだけが理由ではない。ひとつは払拭し切れない「パソコン時代の会社」というイメージだ。インテルはパソコンからスマートフォン(スマホ)へのシフトに遅れ、次の主戦場とされる人工知能向け半導体でも新興のエヌビディアに採用実績やブランドイメージで先行を許している。データ需要で活況のメモリーとCPUの違いはあるものの、17年は半導体の売上高で韓国サムスン電子に25年ぶりに世界首位の座を譲った。

 パソコン時代をともに牛耳ったマイクロソフトもスマホシフトに遅れたが、14年就任のサティア・ナデラCEOがクラウドサービスへの投資にカジを切り、この3年で時価総額を2倍に引き上げた。インテルの同じ期間の上昇率は約30%。期待先行のエヌビディアは13倍に膨張した。着実にキャッシュを稼ぐが大化けもしないというのがインテルへの市場の評価。安定感だけでは成長への期待は高まらない。

 インテルもCPUで広げたクラウドの足場を軸に、データ関連のビジネスに活路を見いだそうとしている。最近では買収で自動運転などの技術を取り込んだ。クルザニッチ氏は「データを中心に置く戦略を成功させるためにもセキュリティーは欠かせない」と強調する。それだけに、脆弱性への対応でつまずけば再浮上のチャンスも途絶える。(シリコンバレー=佐藤浩実)

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