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中国共産党「『黒社会』と闘争」通知

反腐敗闘争、末端幹部にも拡大か

【北京=高橋哲史】中国共産党は「黒社会」と呼ばれるマフィアなど犯罪集団の全国的な取り締まりに乗り出す。庶民の間では、地方幹部の一部が黒社会の後ろ盾となって暴利をむさぼっているとの不満が根強い。反腐敗闘争を続ける習近平(シー・ジンピン)指導部は「黒社会との闘争」を通じ、地方の末端幹部の汚職を摘発するねらいもあるとみられる。

党機関紙の人民日報が25日付の1面トップで、党中央と国務院(政府)の連名による「『掃黒除悪』闘争の展開に関する通知」を伝えた。「掃黒除悪」とは「黒社会を一掃し、悪を取り除く」を意味するスローガンだ。

通知は、今回の闘争が「習近平同志を核心とする党中央による重大な決定である」と位置づけ「それぞれの地区、部門は『掃黒除悪』闘争の重大な意義を十分に認識しなければならない」と訴えた。昨年10月の党大会をへて2期目に入った習指導部の看板政策として、全国的な政治運動に発展する可能性がある。

闘争の進め方で目に付くのは、黒社会による犯罪の取り締まりを「反腐敗、そして末端の『ハエ』たたきと結びつける」としている点だ。

習氏は2012年秋に最高指導者の地位に就くと「トラ(大物)もハエ(小物)もたたく」をスローガンに、汚職幹部を摘発する反腐敗闘争に着手した。薄熙来・元重慶市党委員会書記や周永康・元政治局常務委員ら「トラ」を次々と失脚に追い込み、国民の支持を集めて1期目の権力基盤を固めるのに成功した。

一方で、地方の末端組織にはびこる腐敗には十分に手を付けられていないとの指摘が少なくない。今回の通知は黒社会の「保護傘(後ろ盾)」も徹底的に取り締まるとしており、末端の汚職官僚(ハエ)を標的にしている面も大きい。反腐敗闘争が新たな段階に入ったと印象づけ、習氏の求心力を一段と高めるねらいが透ける。

中国では過去に、黒社会との戦いを政治キャンペーンと結びつけた例がある。12年に失脚した薄熙来氏が、重慶市トップだった09年に黒社会の撲滅をうたった「打黒」と呼ばれる政治運動を展開したのは有名だ。このときは5万人にのぼる重慶市民らが身柄を拘束されたとされる。

黒社会が中国の政治と深く結びついてきた歴史も見逃せない。清朝の時代に成立した「青幇」と呼ばれる地下組織は、20世紀に入ってからも強大な勢力を誇った。国民党を率いた蒋介石は、この組織の力を借りて権力基盤を固めたといわれる。

1949年に中華人民共和国が成立して以降、共産党の取り締まりでこうした組織はほぼ消滅した。しかし、生き残った黒社会は地方を中心にいまもそれなりの勢力を保っているとの見方が絶えない。

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