2018年11月17日(土)

もうアップルに振り回されない 「音認証」の挑戦

コラム(ビジネス)
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2018/2/8 6:30
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1876年にグラハム・ベルが電話を発明し、スティーブ・ジョブズが電話を「再発明」するまで130年。電話の中で唯一生き残ってきた2つのデバイスがある。携帯電話には赤外線通信や指紋認証などさまざまな技術が組み込まれたが、それがなくなったり、仕様が変わったりするたびに利用者は翻弄されてきた。絶対なくならない機能は? 音認証を開発するスマート・ソリューション・テクノロジー(東京・新宿)が目をつけたのがこの2つのデバイス、つまりマイクとスピーカーだ。

■聞こえない音に様々な情報

やまかわ・すすむ 1983年東海大学工学部卒、東芝エンジニアリング入社。その後日本ヒューレット・パッカード、サンマイクロシステムズ、日本ベリサインなどを経て2006年ビー・ユー・ジー(BUG)に合流。12年、同社がスピンアウトしたスマート・ソリューション・テクノロジー社長に就任。

やまかわ・すすむ 1983年東海大学工学部卒、東芝エンジニアリング入社。その後日本ヒューレット・パッカード、サンマイクロシステムズ、日本ベリサインなどを経て2006年ビー・ユー・ジー(BUG)に合流。12年、同社がスピンアウトしたスマート・ソリューション・テクノロジー社長に就任。

「これが音による認証です」。JR飯田橋駅前の本社で同社の山川進社長はたばこサイズの端末にスマホをかざしながら説明してくれた。音は聞こえない。スマホから出ているのは人間にはほとんど聞こえない17~20ヘルツの「非可聴音」なのだ。たばこサイズの端末には高性能のマイクがついていてスマホの音を拾う。実はこのスマホが発する音にはスマホの持ち主であることが分かるさまざまな情報が埋め込まれている。

たとえばコンサートのチケットを購入すると、チケット会社が音を発行する。会場に来て、スマホを端末にかざせば購入者である認証がとれ、入場できる。認証技術はほかにも指紋やQRコードなどがあるが、QRコードは誰もが見える画像だからコピーされる危険がある。指紋認証も、寝ている間に誰かが自分の指を「拝借」しないともかぎらない。「非可聴音」を使った音認証は、目にみえず、耳にも聞こえないから、コピーはほぼ不可能。高いセキュリティーが保てる。

SSTはこの音通信の認証技術「Smart Sound Technology(スマートサウンドテクノロジー)」をライセンス供与したり、企業の委託に応じてシステムを組み立てるサービスを年明けから開始した。将来的には、「スマホとスマホの間で音を認証しあい、相互送金するフィインテックのサービスなどに発展させていきたい」(山川氏)と考えている。

■iPhone登場で一変

山川氏が認証会社の日本ベリサインを退職して、SSTの前身である北海道大学発のベンチャー、ビー・ユー・ジー(BUG)に合流したのは2006年。当時は米アップルのiPhoneが上陸する前で、ガラケーの最盛期だ。山川氏らは近接通信FeliCa(フェリカ)をつかった「3者間通信」といわれる仕組みを用い販促用の端末を作った。来店客の携帯と店舗の端末、そしてウエブサイトの3つをつないで、来店客にクーポンを発行したり情報を提供したりできた。

SSTが開発した端末(中央)。スマホから発せられる「非可聴音」を読み取り、認証する

SSTが開発した端末(中央)。スマホから発せられる「非可聴音」を読み取り、認証する

当時は、NTTドコモとボーダフォン(現ソフトバンク)、auの三大キャリア(通信会社)がそれぞれ規格の違う携帯電話を提供していた。山川社長は「どのユーザーでも使える仕組みをつくるのは大変な作業だった」と振り返る。

ところが2007年に米アップルがiPhoneを発売し、日本でも08年にソフトバンクが、12年にドコモが参入すると、ガラケーはスマホに一気に塗り替わった。独自に発達したガラケーにはフェリカのほかにも赤外線通信や指紋センサーなどさまざまな技術があったが、こうした技術をつかったサービスは、iPhoneへの塗り替わりで成り立たなくなった。「駆逐され、辛酸をなめたサービスや企業は山ほどある」と山川氏は振り返る。

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