2019年3月21日(木)

動画配信は資金力勝負に DAZN、Jリーグ配信1年

2018/1/25 15:47
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英パフォームグループでスポーツ動画配信サービスを運営する「DAZN(ダ・ゾーン)」が、日本のサッカー・Jリーグの動画配信を始めてから1年がたった。配信開始直後の配信トラブルなどの問題もあったが、その後は安定的にサービスを提供、2017年8月には国内の利用者が100万人を突破した。動画配信市場では世界大手のネットフリックスなどがしのぎを削る。人気スポーツの放映権価格は高騰しており、日本では衛星放送事業者が撤退するなど地殻変動も起きている。

Jリーグの村井チェアマン(左)と握手するDAZNのラシュトンCEO(右)

ボクシングの村田諒太選手はアンバサダーとして番組制作やイベントなどに協力

「新たなコンテンツへの投資を積極的に進めて、18年も日本で視聴者を増やしたい」。25日に都内で会見したDAZNのジェームズ・ラシュトン最高経営責任者(CEO)は、次の1年に向けての決意を語った。「順調に利用者が増え続けている」といい、国内のスポーツ動画配信では利用者数がトップ級という。

DAZNが国内でサービスを開始したのは16年8月。17年にはJリーグの試合の放映権に10年間で2100億円を支払うなど、高額をいとわないコンテンツ獲得手法が注目を集めた。その後も海外サッカーリーグの放映権獲得など、コンテンツ強化を続けている。

DAZNが人気を集めるのはコンテンツの量だけではない。配信システムの改善を続け、17年のうちにトラブルの発生率を当初の6分の1に相当する0.2%まで引き下げた。18年もトラブル発生率0%を目指してシステム投資を続けている。

機能の強化にも余念がない。欧州サッカーの試合の動画を夜中にダウンロードしておき、通勤時間にスマートフォン(スマホ)などで見られるようにする機能を追加する。ビッグデータを活用して、利用者の好みの動画を自動で選び出す「おすすめ機能」なども18年から開始する計画だ。

さらに今年2月以降は「新しいコンテンツを準備している」(ラシュトンCEO)と、強みのコンテンツへの投資も積極的に続けるという。18年夏のサッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会や、DAZNが放映権を獲得した欧州サッカーのチャンピオンズリーグなどに合わせてイベントを増やしていく計画だ。

ただ、今後利用者を200万、300万と増やすためには、裾野を広げていく必要がある。スマホ契約者向けにDAZNの動画を配信しているNTTドコモなど、店頭で消費者との接点を担う企業との連携も今後強化する。

動画配信市場では世界大手がしのぎを削る。動画配信で世界トップを走る米ネットフリックスは世界で1億1000万人以上の契約者を持つ。そのおよそ半数は米国在住者だが、日本など他の国でも順調に利用者を伸ばしているという。リアルタイム動画配信の視聴者が4億人を超えたとされる中国でも、競争力のある動画配信サービスが台頭している。DAZNは日本のほか、ドイツやスイスなどでサービスを展開しており、18年には4~5カ国に新たに進出する計画を持つ。

競争の激化を背景に、映画や各種スポーツの放映権の高騰が続く。ネットフリックスやアマゾン・ドット・コムなどの大手はコンテンツの調達費を含む製作費として年間数千億円を投資しており、資金力勝負の側面が強い。

ICT総研の調査によると、16年の国内有料動画配信サービスの利用者数は1160万人。19年には1730万人に拡大するとみられる。拡大する市場で主導権を握るにはコンテンツの確保が大前提だが、日本企業は厳しい状況にある。

欧米の大手に対し資本力で劣る日本企業がコンテンツの配信権を失う例が後を絶たない。衛星放送のスカパーJSATがDAZNにJリーグや欧州サッカーリーグなどの国内放映権を取られたようなことが今後も起こりそうだ。

(小河愛実)

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