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遅すぎる試合展開 球界の「時短」を阻むもの
スポーツライター 浜田昭八

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2018/1/28 6:30
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V9巨人のリリーフエース宮田征典は「8時半の男」と呼ばれた。「セーブ」の制度がまだなかった1960年代。クローザーの元祖的存在だった同投手は、現在のように1イニング限定の登板ばかりでなかった。イニングまたぎを当たり前のようにこなした。当時のナイター開始は午後6時半。2時間後の8時半ごろ登場したので、それが愛称になった。そして、9時前後にゲームセットが平均的展開だった。

今ではすっかり「9時半の男」

ところが、今ではソフトバンクのサファテや阪神のドリスらのクローザーが登場するのは遅い。開始は宮田の時代より30分早い午後6時だし、ほとんどが最終回の1イニング登板。それですっかり「9時半の男」になっている。あまりに遅い試合展開にしびれを切らし、試合終了を見届けずに帰路につくファンが、どの球場でも見られる。

楽天・則本はテンポよく投げ、無駄な球も少ない=共同

楽天・則本はテンポよく投げ、無駄な球も少ない=共同

ホームチームが勝ったあと、グラウンドで行われるヒーローインタビューは観戦の楽しみだ。インタビュー後にヒーローが外野の応援席の前へ駆け寄ったり、観客とハイタッチを交わしたりする。阪神が勝ったあとの甲子園での「六甲おろし」大合唱を観戦のハイライトと感じているファンは多い。

それが、ノロノロ試合のせいで味わえないとしたら、これほど罪なことはない。球界を挙げて試合時間短縮(時短)に取り組むのは当然のことだろう。これはわが球界だけではなく、スピーディーな試合展開が魅力だった米大リーグも、近年はノロノロ展開に頭を痛めている。

「時短」を目指すさまざまな取り組みのなかに、昨年から米大リーグで採用された「申告敬遠」がある。今年、わが球界でも追随して採用する。「敬遠の意思表示をすれば、投球しなくてもいい」というものだ。わずか4球投げないのがどれだけの時間節約になるのかと、関係者の間には効果を疑問視する意見が多い。

球界全体としては4球節約を時短の象徴的事象としてアピールしたいのだろう。だが、時短の標的はもっとほかにある。投球のインターバルだ。1試合で両軍合わせて300球ほど投げる。このインターバルを2秒縮めるだけで10分、3秒で15分の時短になる。できないことではないだろう。

試合時間の長短が問題でなく、内容さえよければファンに受け入れられるとユニホーム組は言う。確かにその通りだが、投手のインターバルが長いと、試合のリズム感が損なわれる。野手も守りにくそうで、凡戦になることが多い。

ちぎっては投げる感じだった400勝投手・金田正一の投球再現は望まないまでも、江川卓や大リーガー上原浩治の投球テンポだと試合が引き締まった。巨人・菅野智之、楽天・則本昂大らはテンポよく投げ、無駄な球も少ない。

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