iPhone XとGalaxy Note8 津田大介の評価は?

iPhoneの最新機種「X(テン)」が発売されて約3カ月がたった。もともと僕はスマートフォン(スマホ)をiOSとAndroidの2台で使い分けていて、今はiPhone Xと、発売前から気になっていたGalaxy Note8を愛用している。iOSとAndroidのフラッグシップ機ともいえるこの2台を併用してきたことで見えてきた互いの長所や短所を紹介する。新年度のスタートに合わせてスマホを買い替えたいと考えている人の参考になるのではないか。
用途が異なるiPhone XとNote8
iPhone XとGalaxy Note8は2台とも毎日ポケットに入れて持ち歩いている。メインで使っているのはiPhone Xだ。iPhone 7の時代は動画の手ぶれ補正機能を目当てに7 Plusを使っていたが、本体の大きさが気になっていた。個人的には、検索や通話などの普段使いには、Xくらいの大きさが持ちやすくてちょうどよい。手ぶれ補正機能は、Xにも搭載されているので安心して利用できる。ホームボタンが排除されて操作が不便になるのではないかと気になっていたが、使っているとすぐに慣れてしまった。

サブのGalaxy Note8は、主に「おサイフケータイ」用だ。僕はSuicaの他にも楽天EdyやWAON、nanacoなどたくさんの電子マネーを使い分けているので、Androidスマホが手放せないのだ。駅やコンビニなどでの利用はもちろん、スケジュールがタイトなときは、タクシーで移動することも多い。電子マネーなら支払いをサッと済ませて降りられるので重宝する。
Note8のペンは記事チェックに便利
Galaxy Note8はサブ機種だが、仕事で利用することが増えている。例えば、付属の「Sペン」を使えば、タブレットのように直接PDFなどに筆記できるので、外出先で出版社などから送られてきた記事を確認する際に重宝している。また、特に便利なのが、電話の通話内容を録音してくれる機能だ。仕事柄、電話取材をすることもあるが、録音機材やアプリを用意することなく、話した内容をそのまま記録できる。

さらに、Galaxy Note8のAOD(Always On Display)機能が地味に便利で、オンにしておくとスリープ状態でも時計を常に表示しておける。有機ELパネルは必要な部分のみを発光させられるので、バッテリーの消費を抑えることができるのだ。机などに置いたままでもスマホを操作することなく、サッと時間をチェックできる。

フィルムをやめてケースに入れた理由
スマホはケースに入れて使っている。僕はスマホがかさばってしまうのが嫌で、これまでケースは使わずガラスフィルムで表面を保護するだけにしていたが、Galaxy Note8にフィルムを貼り付けて指を滑らせてみると、かなりレスポンスが悪いのだ。
家電量販店の有料サービスを使ってフィルムを貼り付けてもらったのだが、有機ELの曲面ディスプレーの関係だろうか。実際、フィルムをはがすとスムーズに操作できた。そこで今回はフィルムを諦めてケースを使うことにした。iPhone Xも今回はケースに入れている。

僕と同じように反応が鈍いと感じている人は、フィルムが原因かもしれないので、一度はがして試してみるといいだろう。
顔認証は便利だが課題も
iPhone Xでは、指紋認証の代わりに顔認証機能が搭載されたが、特にストレスなく使えている。ただ、Xに変えた女性に話を聞くと、普段マスクをしているので認証のたびに外さなくてはいけないのが不便だと話していた。これから花粉症の季節にマスクが手放せない人も少し面倒に感じるだろう。ちなみにGalaxy Note8は虹彩認証が使えるので、マスクをしたままでもロックを解除できる。
また、iPhone Xを購入してから気が付いたのが、バッテリー表示の残り%がステータスバーに表示されなくなったことだ。コントロールセンターを開けば確認できるが、バッテリーアイコンの中に表示させるなど、ひと工夫してほしかった。
画面のきれいさはiPhone
2台を同時に使っていると、互いの優劣がわかりやすい。僕が気になったポイントを紹介しよう。
画面はiPhoneのほうがきれいだ。当初、iPhone Xには気になる目新しい機能がなく、正直そこまで期待していなかったが、実際に触ってみると画面の美しさに感心した。iPhoneシリーズでは、Xからようやく有機ELが搭載されたが、同じく有機ELを採用しているGalaxy Note8よりもきれいに見える。

画面は必要な情報が見られれば十分という人もいるかもしれないが、きれいな画面だと見ていてとにかく気持ちがいい。もちろん旧機種のiPhone 7 Plusよりも快適に使えている。
動作もiPhone Xのほうが快適だ。同じアプリを使ってみると、iPhoneの方がサクサク動くように感じる。特にゲームは違いがわかりやすい。Galaxy Note8も決して遅いわけではないが、比較してみると差を実感する。
「インスタ映え」にはGalaxy Note8
カメラは2機種で同じものを撮り比べてみると、Galaxy Note8のほうが、見た目よりも色が派手でパキッと撮れる。画質もXよりきれいなので、いわゆる「インスタ映え」を狙いたい人にはおすすめだ。
防水性能はGalaxy Note8(IP68)のほうが、iPhone X(IP67)より高い。僕は風呂で読書をする場合は、必ずGalaxy Note8を使っている。アウトドアなどで外に持ち出して、うっかりぬらしてしまう心配がある人も安心だろう。
トータルでは2台とも完成度が高く、僕はおおむね気に入っている。これから機種変更をする人はどちらを買っても満足できるはず。自分の利用シーンを考えて選ぶといいだろう。迷っている人に僕の体験が参考になればうれしい。
ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。「ポリタス」編集長。1973年東京都生まれ。メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。主な著書に「ウェブで政治を動かす!」(朝日新書)、「動員の革命」(中公新書ラクレ)、「情報の呼吸法」(朝日出版社)、「Twitter社会論」(洋泉社新書)、「未来型サバイバル音楽論」(中公新書ラクレ)ほか。2011年9月より週刊有料メールマガジン「メディアの現場」を配信中。
(編集協力 藤原龍矢=アバンギャルド、写真 渡辺慎一郎)
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