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老いてからも筋トレ(広角鋭角)

地域を元気に(3)

兵庫県・淡路島の洲本市の紺屋町会館に午前10時、高齢者16人が集まった。血圧を測った後、それぞれ畳の上の椅子に座り、手首と脚に重りの付いたバンドを巻く。

脚に重りを付けて筋肉を鍛える「いきいき百歳体操」(兵庫県洲本市)

準備運動の後、参加者が始めたのは「いきいき百歳体操」。DVDの模範映像を見ながら、手や脚を上げ下ろしする筋肉運動を約40分間続けた。

「皆さん、体調はどうですか」。参加者に聞くと、「よく眠れる」「足腰が楽になった」「姿勢が良くなった」「腰痛が治り、サッサと歩けるようになった」などの答えが笑顔とともに返ってきた。

淡路島だけで300近い会場があり、約4500人が通う。紺屋町会館が会場になったのは2015年秋。週1回、近所の高齢者約20人が通う。平均年齢は75歳。8割が女性だ。

いきいき百歳体操は02年、マシンを使わずに高齢者の筋力を向上させようと、医師の堀川俊一・高知市保健所長が米国立老化研究所のプログラムを参考に考案。0から2.2キログラムまで10段階で負荷を調節できる重りを手脚に付けて行う。虚弱な高齢者でもできるように、単純な動きで、椅子に座ったりつかまったりして実施するのが特徴だ。

高知市が67~96歳の22人を対象に週2回、3カ月にわたって体操した効果を検証したところ、膝関節の伸展筋力の平均が6.9キログラムから16.1キログラムに増加、5メートル歩行の時間は7.3秒から4.6秒に短縮した。

「加齢に伴い落ちていく体力や筋力を維持・向上させることで、活動的な生活を続けて要介護状態にならないようにするのが狙い。マシンを使ったトレーニングは場所と費用がかさむデメリットがある」と堀川所長。「口コミで効果が伝わり、現在は高知市内360カ所で取り組まれている」。各地にも広がり全国41都道府県の356市町村で取り組まれているという。

3年前から市内の公民館の会場に通う82歳の女性は「最近まで入院していたが、ベッドからの起き上がりや廊下での歩行が楽にできたのは体操のおかげ」と話す。

老年医学の専門家によると、筋肉量は50歳以降毎年1~2%減り、70歳までに20代のときに比べ25~30%減少。筋力は30~40%落ちる。近年は極端に筋肉量が減った状態を「サルコペニア」と呼び、「フレイル」と呼ばれる虚弱状態になったり、転倒・骨折して要介護状態になったりするリスクが高まると指摘されている。

急速な高齢化の進展により、高齢者の10~30%は既にサルコペニアやフレイル状態にあると考えられており、運動で筋力を鍛える取り組みが活発化している。身体活動を通じて健康寿命を延ばそうと神奈川県藤沢市と「ふじさわプラス・テン」活動を展開する慶応大学大学院健康マネジメント研究科の小熊祐子准教授は「身近な場所で個人の体力レベルに応じてできる体操だからこそ長続きし、効果を得られる」と話す。

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