2018年6月19日(火)

草津白根山噴火 前兆はなく

科学&新技術
2018/1/23 17:48
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 草津白根山の噴火は本白根山の鏡池付近で発生した。気象庁によると、午前9時59分ごろに振幅の大きな火山性微動が観測され、約8分間続いた。火山性微動は噴火に伴うものとみられ、噴火と同時に発生したようだ。噴火の前に活発な地震や噴気など前兆と考えられる活動は見られなかったという。

 東京工業大学の観測で、鏡池付近から1キロメートル以上飛散する噴石が確認されたことを受け、気象庁は午前11時50分に草津白根山の噴火警戒レベルを3(入山規制)に引き上げた。同庁の斎藤誠火山課長は23日午後の記者会見で「噴火の前に警戒レベルを引き上げることは困難だった」と説明した。

 本白根山は白根山や逢ノ峰などとともに草津白根山を構成する。今回噴火した鏡池のある本白根山の最後の噴火は約3000年前。近年の活動状況から草津白根山は鏡池ではなく、白根山の湯釜付近で噴火する恐れが高いと考えられていた。観測体制も湯釜付近を中心に整備していた。

 今回の噴火の仕組みは「噴石などを分析しないと分からない」(斎藤課長)ため、火山機動観測班を現地に派遣した。23日夜までに分析をまとめる方針だ。

 草津白根山では1980年代初頭に湯釜周辺でマグマで熱せられた地下水が噴き出す「水蒸気爆発」が相次いだ。83年11月には人の頭ほどある岩が火口から600~700メートルの範囲まで飛んだ。

 89年以降は、火山性地震や火山性微動が多発し、時々噴気活動がみられるようになった。2009年には湯釜火口の内部の温度が高い状態が確認され、火口から半径500メートル以内を立ち入り禁止とした。

 水蒸気爆発は、マグマそのものが上昇し噴出するマグマ噴火に比べて規模は小さいとされるが、前兆現象を捉えにくい。14年の御嶽山(長野、岐阜県)の噴火も水蒸気爆発によるもので、登山者ら58人の死者を出した。

 雪が積もった山で噴火が起きると火口付近の氷雪が溶けて泥流が発生することがある。ただ、融雪による泥流の発生にはかなりの熱量が必要という。気象庁は今回の噴火による泥流について「現時点での地殻変動では発生することがないとみている」(斎藤課長)。雪崩と噴火の関係は現時点で把握できていない。

 気象庁は今後も噴火の可能性があると指摘。本白根山鏡池付近から半径2キロメートルの範囲では噴火に伴う大きな噴石に警戒するよう呼びかけている。ただ、草津温泉や万座温泉などの居住地は2キロメートル以上離れており、現状では噴石が届く恐れはないという。

 草津白根山は14年に火山性地震の増加や山体の膨張が見られるなど、火山活動が活発化したため、気象庁が噴火警戒レベルを2に上げた。その後、火山性地震の減少や地盤に収縮する傾向がみられた。活動が低下したとして17年6月にレベル1(活火山であることに留意)に引き下げた経緯がある。

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