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物質の構造、原子レベルで観察 巨大施設を官民で整備

林芳正文部科学相は23日の閣議後の記者会見で、物質の構造が詳しく分かる「放射光施設」を官民共同で整備すると表明した。創薬に関わるたんぱく質の構造解析や軽くて丈夫な新材料開発を狙い、国内企業に広く利用を開放する方針だ。同省所管の量子科学技術研究開発機構を中心に計画を具体化し、2023年ごろの運転開始を目指す。

放射光施設は電子を光速近くまで加速し、発生する放射光を利用して物質を原子レベルで観察できる。広大な敷地が必要で、「巨大な顕微鏡」といわれている。

新しい施設は加速装置が直径100メートルほどになる見通し。施設の敷地面積は東京ドーム3個分に達するとみられる。建設には約340億円を見込み、建屋の費用などについて産業界に負担を求める。

一般に国が整備した施設は実験データの公表が求められる。今回は民間が整備費の一部を負担する枠組みとし、実験データを自社の事業に優先して生かせる。

化学プラントに使う高効率な触媒のほか、自動車や建材向けの軽くて丈夫な素材、副作用の少ない抗がん剤などの研究開発が進展すると期待される。

文科省が23日から誘致を希望する機関を全国から募る。現地調査などを通して立地の可否を判断し、6月ごろにも建設地を決定する方針だ。現時点で誘致を表明しているのは、仙台市に設置を目指す団体だけ。仙台市が建設地の有力候補となる。

国内の大型放射光施設としては理化学研究所の「スプリング8(兵庫県)」がある。加速装置の直径が約500メートルと大規模だ。大学や公的機関などの利用が中心だが、住友ゴム工業がゴム構造の解析に応用し、高性能の低燃費タイヤを開発している。

新材料の研究競争が激しくなるなか、海外でも放射光施設の建設や更新が相次ぐ。米国や中国、フランス、英国、スペインなどが運用を始めている。

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