2019年5月23日(木)

サイバー対策 育てプロ 福岡県警と産学連携

2018/1/22 21:35
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高度化するサイバー犯罪に対応するため、福岡県警が企業や大学と連携した人材育成に力を入れている。専門職員を企業の長期研修に派遣したり、九州大学が開講する社会人向けのサイバーセキュリティー講座に参画したり。県内でも増加傾向にあるサイバー犯罪を防ごうと、産官学での取り組みを加速させる。

企業の長期研修でサイバー攻撃の解析方法などを学んだ

昨年11月、東京都内の日立システムズ本社。「添付ファイルを開くと、悪意のあるプログラムが発生する恐れがあるため、安全な仮想環境をつくりデータを解析します」。同社の男性社員がサイバー攻撃の情報を解析する手順を説明し始めると、県警サイバー犯罪対策課の巡査部長(46)は真剣な表情で聞き入った。

県警は昨年9月から、日立製作所と日立システムズに職員を派遣。サイバー犯罪分野で専門企業に人材を送るのは県警として初の試みだ。サイバー犯罪対策課の末松範之次席は「最新技術を学ぶだけでなく、他の機関との連携強化につなげたい」と強調する。

日立システムズのICTインフラサービス事業グループの本川祐治技師長は「受け入れ側にも捜査機関の声を技術やサービス向上に生かせる利点がある」と話す。県警は今後、他の企業などにも職員を派遣する方針だ。

九大が2018年度から開講するサイバーセキュリティーの人材育成事業にも参画する。LINEの子会社、LINEFukuoka(福岡市)と連携し、スマートフォンなどを利用した犯罪の実態を反映した教育プログラムを助言するもので、現役のエンジニアなど専門職の社会人の参加を見込む。

県警は九大が開講しているサイバー犯罪に関する講義に60人以上の職員を派遣している。サイバー犯罪の現状などを学べる基礎的な講座に加え、ウイルスが侵入する技術的な仕組みを身に付けられる講座もあり、大学との協力体制を今後も強化していく構えだ。

企業や大学との連携で得られたサイバー犯罪対策の技術や知識を基に、県警内での教育体制も整える。

12年から県警サイバー犯罪対策課が主催する「実践塾」では、専門知識を身に付けた課員を各地区に派遣し、サイバー犯罪の基礎知識や、署に相談が寄せられた際の対応などを教える。

県警が昨年1~6月に受理したサイバー犯罪の相談件数は、16年同期の1337件を大幅に上回る2112件に達した。中小・新興企業が増えている福岡でサイバー攻撃が深刻になれば「地域経済にもダメージを与えかねない」(岡村耕二九大教授)との懸念もある。県警はサイバー犯罪を防ぐ取り組みを地域全体で進めるため、啓発にも力を入れる方針だ。

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