2019年1月20日(日)

タン元交通運輸相に禁錮13年 ペトロベトナム巨額損失裁判
"政治的粛正"との見方も

2018/1/22 18:00
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【ハノイ=富山篤】ベトナム最大級の国営企業で石油・ガス最大手のペトロベトナム(PV)の巨額損失事件を巡り、ハノイ市人民裁判所は22日、同社の元会長で交通運輸相も務めたディン・ラ・タン被告(57)に禁錮13年を言い渡した。汚職が絡んだ総額8千億ドン(約40億円)に上る損失の責任を明確化した一方、「政治的な粛正だ」との声もある。

法廷に入るペトロベトナム元会長で、元交通運輸相のディン・ラ・タン被告(中)(8日、ハノイ)=AP、ベトナム・ニュース・エージェンシー

タン氏の部下でPV建設元会長のチン・スアン・タイン被告(51)には終身刑を言い渡した。人民裁判所は「各被告は故意に国の規定を破り、巨額損失を生じさせた」と指摘。資金不足が生じていたPV建設に大きなプロジェクトを発注し、損失を膨らませたとされる。

タン氏は元閣僚であるだけでなく、2017年5月まで最大の経済都市ホーチミン市の知事職に当たる書記と、ベトナム共産党最高幹部の政治局員も務めていた。そんな国家の最重要人物の一人に刑罰が下されるのは初めてだ。タン氏は親日家としても有名で、日本の政治家や官僚とのパイプも太かった。

今回のタン氏の判決には政治的な意図を指摘する声が多い。タン氏は前首相のグエン・タン・ズン氏の右腕と言われ、その信頼もあってPVの会長、ホーチミン市書記といった要職を任された。16年にズン氏が失脚したあとも、タン氏は政治局員に昇格するなど順調に出世を続けたため、ズン氏の影響力が残っているとの見方が多かった。

最高指導者のグエン・フー・チョン共産党書記長は11年に就任し、16年の党大会で再選された。下馬評ではズン前首相が就任すると言われていたが、独断専行気味とも言われた強すぎるリーダーシップや、党内で非主流の南部出身であることが壁となり、失脚した。党幹部による集団指導体制を強めるチョン書記長はズン前首相の影響力が依然残っていることを危惧していたとされる。

PVの巨額損失は17年から表面化していたものの、タン氏が同年5月に失脚し、責任問題は収束したと思われていた。それが急転直下、12月に逮捕された。7月にはタン氏の部下だったタイン氏も国外逃亡していたドイツから急きょベトナムに戻って出頭するという不可解な形で逮捕された。独政府は「ベトナムの情報機関が誘拐した」と主張し、一部の政府開発援助(ODA)を中止するなど国際問題に発展している。

チョン書記長は17年10月、汚職撲滅、行政改革を推進すると宣言した。それ以降、加速した"ズン派"の相次ぐ逮捕には「汚職撲滅に名を借りた権力闘争」(政府筋)との声が上がる。

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