働き方改革へ決意、改憲論議前進を 首相施政方針演説 - 日本経済新聞
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働き方改革へ決意、改憲論議前進を 首相施政方針演説

(更新)

安倍晋三首相は22日午後の衆院本会議で施政方針演説をした。少子高齢化の進行による人口減の克服に向けて「働き方改革を断行する」との決意を表明。首相が意欲を示す憲法改正については、国会での議論の前進に期待を示した。北朝鮮の核・ミサイル開発による安全保障環境の変化を受け、年末に向け防衛大綱の見直しを進める方針も明らかにした。

2012年12月の第2次安倍政権発足後、施政方針演説は6回目。首相は冒頭、18年が明治維新から150年にあたることに触れ「明治の先人たちに倣って、今こそ新たな国創りの時だ」と意気込みを示した。

働き方改革関連法案は今国会の最重要法案の一つ。首相は演説で子育てや介護を挙げて「柔軟な労働制度へと抜本的に改革する」と強調。「働き方改革は社会政策にとどまらず、成長戦略そのものだ」とし「ワーク・ライフ・バランスを確保することで、誰もが能力を思う存分発揮すれば、少子高齢化も克服できる」などと主張した。

憲法改正を巡っては「国のかたち、理想の姿を語るのは憲法だ」と指摘。そのうえで「各党が憲法の具体的な案を国会に持ち寄り、憲法審査会において議論を深め、前に進めていくことを期待している」と述べた。改憲案の国会発議に向けて野党にも議論の進展を働きかけたものだ。

教育無償化などの「人づくり革命」では「幼児教育の無償化を20年度を目指して一気に進める」とした。私立高校の無償化や大学学費の減免、給付型奨学金の拡充にも言及した。消費税収の一部を教育無償化の財源とするため、これまで20年度としていた基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化達成の目標時期を見直し、今夏までに新たな目標時期を具体的な歳出抑制計画とともに示すことを表明した。

社会の生産性を高めて経済成長につなげるための「生産性革命」では、人工知能(AI)など最先端技術への投資を含め「20年を大きな目標に、あらゆる政策手段を総動員する」と強調した。

外交・安全保障では北朝鮮の核・ミサイル開発を「これまでにない重大かつ差し迫った脅威だ」と指摘。日本の安全保障環境は「戦後、最も厳しいと言っても過言ではない」との危機感を示した。

北朝鮮情勢などを受けて「年末に向け、防衛大綱の見直しも進めていく」との方針を表明。「外交・安全保障の基軸はこれまでも、これからも日米同盟だ」と述べ、日米が連携を強化して対処していくことも確認した。

日中関係では「中国とも協力して、増大するアジアのインフラ需要に応えていく」と明言した。法の支配など国際的なルールを守ることが前提となる。中国の広域経済圏構想「一帯一路」には直接的には触れなかった。

17年の演説では中国より先に韓国に触れたが、今回は中国より後になった。文在寅(ムン・ジェイン)大統領の名を挙げて「両国間の国際約束、相互の信頼の積み重ねの上に、未来志向で、新たな時代の協力関係を深化させる」と強調。従軍慰安婦問題の解決を確認した15年の日韓合意を履行するよう改めて促した。

17年の演説にあった「戦略的利益を共有する最も重要な隣国」との表現も用いなかった。文大統領が慰安婦問題で日本側に改めて謝罪を求めてぎくしゃくした日韓関係を反映したとみられる。

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