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大リーグ、ネット動画配信ビジネスの光と影
スポーツライター 丹羽政善

(2/2ページ)
2018/1/22 6:30
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さて、その孝行息子は昨年、さらに巨額マネーを生んだ。

15年、MLBアドバンスト・メディアの技術部門を分社化(動画配信企業BAMテック)すると、16年に米メディア大手のウォルト・ディズニーが10億ドル(当時のレートで約1020億円)で株式33%を取得。昨年夏にはさらに15.8億ドルで株式42%を買い増し、事実上、BAMテックを傘下に収めた。

ディズニーとしては自社が持つ映画のコンテンツに加え、傘下にあるABCテレビ、スポーツ専門チャンネル「ESPN」といったテレビ局のストリーミング配信サイトも新たに立ち上げる予定で、出遅れ気味だったストリーミング市場に打って出る。

各球団に50億円超のボーナス

昨年夏の売却益に関しては、今年3月までに大リーグの各球団に均等に分配される見込みで、単純計算で1チームあたり約5000万ドル(約55億円)だが、そこには昨年のMLBアドバンスト・メディアの利益も加わるため、1チームあたりの分配金は6800万ドル程度とも予想されている。各球団はまた、MLBが各テレビ局と結ぶ全米放映権の分配金を年間で5000万ドルほど受け取っており、2つの分配金だけでチームの年俸総額を上回るケースもある。

放映権に関してはともかく、MLBアドバンスト・メディアの影響力はかくも多岐にわたり、同社を所有する大リーグの30球団もまた、多大な恩恵を受けている。

転じて、日本野球機構(NPB)のホームページは……。おそらく、MLBアドバンスト・メディアの社員が見たら首をかしげるのではないか。

いや、日本にも「MLB.TV」のビジネスモデルに近い「パ・リーグTV」が存在するが、セ・リーグにはそれがない。おそらく大リーグの関係者には「せっかくの優良コンテンツを無駄にしていて、もったいない」としか映らないはずだ。

「MLB.COM」は当時コミッショナーだったバド・セリグ氏の肝いりで始まった。日本でも本来、コミッショナーが音頭を取るべきだが、それができず、せっかくのビジネスチャンスを逃しているとも映る。

もっとも、強大化しすぎ、権力の集中を許していたMLBアドバンスト・メディアも今、一つの転機を迎えている。

創業当時から辣腕を振るい、カリスマ経営者として名をはせたボブ・ボウマン氏が昨年末に退社した。表向きは契約切れだが、実際には解雇に近い。部下を怒鳴り散らすなどパワハラが告発され、さらにはセクハラもあったとのこと。内幕を暴露した米ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、少なくとも10年ほど前から常態化していたという。セリグ前コミッショナーも把握していたものの、莫大な利益を上げていたからか、目をつぶっていたとほのめかす。

まるでハリウッド映画界で表面化したセクハラ問題のようだが、華やかな舞台の裏側で深い闇が見え隠れし始めている。

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