2019年8月23日(金)

エジプト大統領、再選へ出馬表明 強権政治に閉塞感も

2018/1/20 10:07
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【カイロ=飛田雅則】エジプトのシシ大統領は19日、3月に実施される大統領選挙に出馬すると表明した。現時点で有力な対抗馬はおらず、シシ氏は得票率9割を超えた前回選挙と同様に圧勝するとの見方が濃厚だ。ただ国内では物価高が続き、経済への国民の不満が高まっている。政府はデモを警戒し、言論の制限や取り締まりを強化しており、強権政治への閉塞感が強まりそうだ。

シシ氏はカイロで演説し、「2期目に向けて立候補を決めた。多くの国民が選挙に参加してほしい」と出馬を表明した。3月26~28日に投票が実施され、4月2日に結果が発表される予定。シシ氏以外には、シシ氏に反発する弁護士らの出馬が取り沙汰されている。

エジプトでは2011年に民主化運動で約30年続いたムバラク政権が崩壊。初の民主的な選挙でイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」系の政権が誕生したが、経済失策で批判が高まり、13年に事実上の軍事クーデターで倒れた。クーデターを率いたのが当時、国防相だったシシ氏だった。

一方、過去の政変による混乱を引きずり、エジプト経済は停滞する。テロ発生による観光業の低迷などが主因だ。財政難から16年に政府は国際通貨基金(IMF)に支援を要請。3年間で120億ドルの支援を受ける条件として(1)通貨の変動相場制への移行(2)食料や燃料など補助金の削減(3)付加価値税(VAT)の導入などを突きつけられた。

合意に基づき16年11月に変動相場制に移行し、為替レートは急落。現在も1ドル=17エジプトポンド台と、以前の半値以下の水準にある。通貨安による輸入物価の上昇に、燃料などの補助金削減もあり、30%前後のインフレが続いた。国外からの投資などは回復基調にあるとされるが、人々の生活は苦しいままだ。

テロの脅威も続いている。経済対策と同時に過激派掃討を急ぐが、キリスト教一派、コプト教を狙ったテロが相次ぐ。過激派組織「イスラム国」(IS)の残党が流れ込んでいるとされ、東部シナイ半島ではテロが頻発。17年11月にはモスクが襲撃され、テロの対象はイスラム教徒にまで拡大した。

政権は治安維持を名目に、民主化を主導した活動家や野党関係者の逮捕やネット規制などを強めている。有力候補の大統領選挙への出馬を封じる狙いもあったとみられる。出馬を表明したシャフィク元首相は7日、「(自分は)理想的な人物ではない」として辞退した。政権が圧力をかけたとの見方もある。

9千万人超のアラブ圏で最多の人口を抱えるエジプトは、中東とアフリカの交差点にあり、地政学上の重要性も高い。生活苦や強権政治への不満が募り、民衆が暴発するリスクは高まりつつある。選挙で国内が混乱すれば、過激派を利することになる。

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