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アマゾン、米で月会員の会費18%上げ 年会員に誘導

強気の囲い込み戦略、一段とサービス向上・拡大へ

【シリコンバレー=中西豊紀】米アマゾン・ドット・コムは19日、無料配送サービスなどを受けられる「プライム会員」の月会費を18%値上げし12.99ドル(約1400円)に改定した。年間一括払いの会費は99ドルで据え置いた。長期にわたりプライム会員にとどまるよう消費者を誘導する狙い。ネット通販の急速な広がりをテコにした強気の囲い込み戦略だ。

米国でプライム会員はアマゾンが提供するネット動画の視聴や当日無料配送といったサービスを受けられる。これまで月に10.99ドルか、年間に99ドルを払えばメンバーになれたが、19日付で月会費を値上げした。

アマゾンの米国広報は日本経済新聞に「プライム会員にとっての付加価値を今後も高めていく」とコメントした。例えば会員向けの2日以内の無料配送の対象商品はこの数年で2000点から1億点超に増え、こうした優遇措置を増やしていくという。動画コンテンツも拡充を進めている。

もともとプライム会員の会費は年一括で徴収していたが、柔軟性を高めるため2016年4月に月額制も導入した。今回の値上げはここ数年でプライムサービスの利用経験者が増えたことを見越し、消費者を「ロイヤルカスタマー」として通年型の会員に囲い込む狙いがあるとみられる。

アマゾンはプライム会員の詳細を明らかにしていないが、調査会社GBHインサイツによると、17年末で全米に8800万人の会員がいるとされる。プライム会員は通常の無料会員よりもアマゾンでの買い物時の支出額が多いとされ、成長の支え手となっている。会費収入が安定して入ることも強みだ。

値上げに踏み切るネット企業はアマゾンにとどまらない。動画配信のネットフリックスも17年10月に米国での月額料金引き上げを発表した。ネットフリックスは全米に約5300万人の会員を抱える。

アマゾンもネットフリックスもまずはサービスの質を高めて会員を一気に増やし、その後に値上げに踏み切っている。利用者離れが起きないという読みのなか、「種まき期」から「収穫期」へと戦略を切り替えているもようだ。値上げで得る収益はさらなるサービスの向上・拡大にあてる見通しだ。

ネット通販は小売り最大手のウォルマート・ストアーズも追い上げを始めているほか、グーグルやフェイスブックも関連事業に乗り出している。動画配信ではアマゾンとネットフリックスは競合しており、互いに独自作品の制作費を積み上げている。

激しい競争下でも値下げ競争に陥らないところに、各分野でシェア首位にあるプラットフォーマー(基盤提供者)企業の強みがある。今なおデフレにあえぐ日本との違いは、圧倒的に強い企業の有無ともいえそうだ。

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