2019年5月25日(土)

モンスト・パズドラ、「ガチャ」確率公表へ
アップルが義務付け

2018/1/19 14:34
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ミクシィは人気のスマートフォンゲーム「モンスターストライク」で、有料電子くじ「ガチャ」の個別アイテムごとの当選確率の表示を18日から始めた。ガンホー・オンライン・エンターテイメントも「パズル&ドラゴンズ」で同様の措置を取った。秘密の数字が急に開示されることになった背景には、米アップルが2017年12月に実施したルールの改定がある。

ミクシィはモンストでアイテム別のガチャの当選確率の開示を始めた

ガンホーもパズドラでモンスターごとのガチャの当選確率を開示する

■射幸心を巡り海外で議論白熱

「ガチャ」は、欧米では「ルートボックス」(お宝の戦利品)と呼ばる。スマホゲームを有利に進めるために利用者が料金を払ってくじを引き、希少アイテムを取得したり、キャラクターを強化したりする。スマホゲームの開発・運営企業にとって、アプリ販売や課金と並ぶ重要な収益の柱となっている。一方で、珍しいアイテムやキャラクターがどのぐらいの確率で当たるのかを運営企業が曖昧にして、利用者の射幸心をあおっているという批判がある。

特に、射幸心をあおられた未成年が多額のお金を投じる問題は、日本だけではなく海外でもクローズアップされている。欧米では16年ごろから「ガチャは賭博か」という議論を起点に、ゲーム業界と消費者団体、教育関連機関などのあつれきが目立ち始めた。

米国では、ゲーム業界が「消費者の自己責任」を主張しつつ、一部で自主規制の動きが出ている。英国では17年、賭博関連の法律を改正してゲームのくじの取り締まりを求める署名運動がネット上で盛り上がりをみせた。

こうした動きに敏感に反応したのが、ゲームの配信を担っている米アップルだ。17年12月にアプリダウンロードサービス「App Store」の開発者向けの規約を改定。iPhoneやタブレットで遊ぶゲームに関し、有料電子くじの当選確率を利用者に開示することを義務付けた。

規約改定は「スターウォーズ」をモチーフにしたゲームの人気が過熱している米国と欧州を念頭に置いた措置とみられるが、効果は全世界のiPhoneで遊べる公式ゲームに及ぶ。日本も網がかぶせられ、モンスターストライク(モンスト)とパズドラの秘密の扉が開いた。

■外圧で足並みそろう?

実は日本では長年、ガチャの当選確率について、企業間で見解や姿勢が割れてきた。12年、特に射幸性の高い「コンプリートガチャ」について消費者庁が景品表示法に抵触するとの指針を発表。日本オンラインゲーム協会などの業界団体が16年4月にガイドラインをつくり、ガチャで得られるアイテム一覧を明記したり、希少アイテムが当たるまでの推定金額に上限を設けたりするのなど、一定の透明化に取り組んでいる。

ただ、あくまで各社の自主的な措置で、開示情報のボリュームは社によって差があるのが実態だ。例えば、人気ゲーム「白猫プロジェクト」を提供するコロプラは17年7月からガチャのアイテムの当選確率を開示している。「今回のアップルの措置による影響は小さいと思うが、何もないとは言い切れない」(担当者)という。

今回、スマホゲーム大手のミクシィとガンホーが情報開示に動き、業界全体の足並みがそろう可能性が出てきた。日本の消費者の声ではなく、アップルという外圧によるのは、なんとも皮肉だ。

■「パズドラ」「モンスト」とは

人気のスマホ・タブレット向けゲーム。パズドラはガンホーが運営する「パズル&ドラゴンズ」、モンストはミクシィが運営する「モンスターストライク」の略称。12年、13年にそれぞれ配信が開始され、スマホが普及するとともに、アプリのダウンロード数も増えた。

専用のゲーム機器を必要としない手軽さや、基本的な遊びなら課金を必要としない気楽さが受け、各種アプリ配信サイトの売り上げランキングでは上位の常連となっている。

パズドラはダンジョン(洞窟)を冒険するというロールプレイングゲーム(RPG)の要素とパズルゲームを組み合わせている。敵モンスターと遭遇するとパズルが出現、操作することで敵モンスターを攻撃できる仕組み。一方、モンストは、おはじきのように手持ちのキャラクターを敵にぶつけて倒していくゲーム。それぞれ遊び方の設計にも工夫をこらしているのが特長だ。

(石塚史人、黒瀬泰斗)

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