ウーバー、不採算地域の撤退加速 ソフトバンク出資完了

2018/1/19 13:05
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【シリコンバレー=兼松雄一郎】ソフトバンクグループによる米ライドシェア最大手ウーバーテクノロジーズの株式取得が完了した。15%を保有する筆頭株主となり、2人の取締役を送り込む。2019年をめどとする上場に向け、不祥事が続く組織の引き締めと、不採算地域からの撤退を含む収益性改善へ圧力を強める可能性が高い。

ソフトバンクは収益性改善へ圧力を強める(米カリフォルニア州のウーバー本社)

ソフトバンクは収益性改善へ圧力を強める(米カリフォルニア州のウーバー本社)

■創業者と株主 対立緩和へ

ソフトバンクは今回の出資で、創業者のトラビス・カラニック取締役と、同氏と激しく対立する主要株主の米ベンチャーキャピタル(VC)、ベンチマークキャピタルの双方から一部の保有株を買い取った。創業者と主要株主の対立がウーバーの経営混乱に拍車をかけていたが、安定株主としてソフトバンクが加わることで中立軸が生まれる。ソフトバンクからの出資受け入れには、社内対立の緩和とダラ・コスロシャヒ新最高経営責任者(CEO)の権力基盤を安定させる狙いがある。

創業者のカラニック氏はセクハラ放置、規制当局の調査をかいくぐるソフトの開発など、法令順守意識に欠ける組織文化の元凶となってきた。少なくとも資本の面では同氏の影響を薄めることには成功した。

ウーバーは米グーグル系ウェイモから自動運転技術を盗んだ疑惑についての裁判、個人情報流出の訴訟も抱えている。法廷でのやりとりや開示情報を見る限り分が悪い。調達した資金の一部を使い、和解や課徴金の支払いで早期の幕引きを図ることになる。

■ウーバーは米欧に集中か

ソフトバンクはウーバーと激しく競合する東南アジア最大手グラブ、インド大手オラにも出資している。アジア市場では競争が激しくウーバーも利益は出ていない。上場に向け投資家は不採算地域から撤退するよう圧力を強めている。そこにソフトバンクが加わり、比較的ブランドが強い米、欧、オーストラリアなどの市場に経営資源を集中する路線が固まりつつある。

ウーバーは既に中国では、ソフトバンクが出資する中国最大手、滴滴出行に事業を売却している。ロシアでも現地大手と合弁を設立し事実上事業から撤退した。ただ、中国やロシアでは撤退後も現地大手の関連企業に一部の持ち分は残しており、現地のサービスが成長すれば、一定の収益は得られる形になっている。今後、東南アジアやインドなどでもこうした撤退戦略を進める可能性が高い。関係者によれば既にグラブとは水面下では交渉している。

■グループ内で連携を模索

コスト競争力があるライドシェアは先進国でもまだ市場の成長余地は大きい。上場に向けウーバーが優先するのは黒字化への道筋をつけることだ。不採算のリース事業は昨年末に売却を決めた。

収益性改善のための事業運営の効率化でソフトバンクは一定の役割を果たしそうだ。ソフトバンクが出資する同業大手との間で、海外旅行客などの顧客の相互融通、一部のインフラ技術や地図データなどの共有、ウーバーが開発する自動運転車の導入といった連携の形を模索していくことになる。

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