御嶽海、会心 期待に応える5連勝
この人が登場すると国技館のボルテージが明らかに上がる。四方にしこ名の入った手拭いが掲げられ、コールが起きることもしばしば。大きな期待に御嶽海が会心の相撲で応えている。
この日の関脇対決も終始主導権を握った。馬力のある玉鷲を立ち合いから押し込んだ。一瞬引いて押し返されたが、浅い二本差しからはず押しで勝負を決めた。
2015年九州の新入幕以来、初日からの5連勝は初めて。実力者たちを相手に突いてよし、組んでよし。万能ぶりを発揮している。
元アマ横綱。鳴り物入りで15年春に初土俵を踏み、番付を駆け上がった。昨年は三役に定着し、全6場所で勝ち越した。ただ初場所の11勝以外は8~9勝。大関を目指すには物足りなかった。
師匠の出羽海親方(元幕内小城ノ花)は「立ち合いの速さと踏み込みがよくなった。押される相撲がない」と成長を認める。しかし本人にその実感は薄い。「いつもと一緒の事をしているだけ。経験? たぶんね」。同じ一門の藤島親方(元大関武双山)は「センスは抜群。大した稽古もしていないだろうに」と苦笑いする。
「時間」は素材のうまみを引き出すのに欠かせない要素だ。入門から3年。特別なことはしなくても、「ちゃんこの味がしみてきた」とはこういうことを言うのだろう。(吉野浩一郎)