2019年8月22日(木)

京都のGLM、EV開発のハブに 東洋ゴムと提携

2018/1/18 2:00
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京都大学発の電気自動車(EV)スタートアップ、GLM(京都市)が大手部品メーカーと続々と提携している。17日には東洋ゴム工業とEV向けの部品を共同開発すると発表。2020年中に路面の状況に応じて揺れを緩和する「アクティブサスペンション」を開発する。GLMは車の心臓部を「プラットフォーム」として他社に提供する事業を手掛けており、これへの搭載を目指す。

GLMのプラットフォームを使った旭化成のコンセプト車

共同開発するアクティブサスペンションは車に伝わる揺れや振動を電子制御によって緩和する。EVではこれまでエンジン音でかき消されていた凹凸道などを走るときの騒音が目立つようになるとみられ、より高い静粛性が求められる。これに対応できる高度な製品を開発する。

GLMはEVの足回りに使う部品に必要なノウハウを東洋ゴムに提供。東洋ゴムはこれまで開発してきた自動車用ゴム部品の技術を開発に生かす。

GLMはEVの完成車を販売するほか、シャシーや駆動装置、制御装置を組み合わせたEVの中核部分をプラットフォームとして開発、外部に販売している。必要な部品は外部から調達したり、共同開発したりする戦略で、東洋ゴムとの提携もその一環。

東洋ゴムは17年に鉄道車両用部品などの事業売却を発表。自動車用タイヤや自動車部品に経営資源を集中する姿勢を打ち出しており、GLMと組んで新分野に挑む。

GLMは2010年設立で社員数27人、売上高は約2億円(17年3月期)の小さな会社だ。しかし独ボッシュなど大手と提携しており、オムロンニチコンなどといった関西企業とも協力する。協力会社は国内外で約170社に達する。実績を重視する自動車業界にあって、GLMが大手部品企業を引き付けるのはそのオープンな開発手法と、独自のビジネスモデルだ。

GLMの名を世に知らしめたのが13年に発売したスポーツカー「トミーカイラZZ」だ。時速100キロメートルまでの到達時間は3.9秒、最高出力305馬力という性能が目を引き、予約枠の約2倍の注文が集まった。

同社の高い技術を支えるのが自動車メーカーから転職してきたエンジニアたち。トヨタ自動車から移ってきた技術本部長の藤墳裕次氏を筆頭に、三菱自動車日産自動車などで経験を積んだ技術者たちが開発にあたる。足元では19年量産予定の次世代モデルのプロジェクトが進む。

ただ、GLMが大手を引き付けるのは、単なる技術力だけではない。東洋ゴムは今回の提携について「EVに関する最新の情報が得られることが大きかった」とGLMを相手に選んだ理由を明かす。GLMは協力企業との情報共有を重視しており、開発コンセプトや開発状況をオープンにし、部品メーカーからの提案も積極的に受け入れる。自動車業界では情報は秘匿することが競争力につながるという考え方が根強いが、GLMと組めば部品メーカーにとって自社の開発力向上にもつながる。

またGLMがスポーツカーを完成車として売る一方で、シャシーや駆動装置、制御機器を組み合わせた、車の中核部分である「プラットフォーム」の開発・販売を手掛けていることも大きな魅力だ。自動車関連のビジネス参入を目指すIT企業など、異業種企業が独自のIT機器を組み込んだ独自のEVをつくることができる。中国企業などからの引き合いが強い。

プラットフォームの製造自体は外部企業に委託する。すでに提供は少しずつ始めており、旭化成は17年、GLMのプラットフォームをベースにしたコンセプト車を披露。軽量化につながる樹脂や、燃費と走行性能を両立したタイヤ向け材料、車内環境を検知するセンサーなど旭化成の27製品を搭載、自社の総合力をアピールした。

部品を提供するメーカーにとっては、従来の自動車会社以外にも販売先を広げる機会にもなる。

GLMをめぐっては関西に新しい部品ネットワークができつつある。すでにGSユアサ傘下のリチウムエナジージャパン(滋賀県栗東市)と電池で、オムロンと分電盤に使う電子部品で協業関係にあり、製造では小阪金属工業(京都府舞鶴市)に委託している。

(香月夏子、黒田弁慶)

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